デジタル・デモクラシー ①
内田聖子(NPO法人アジア太平洋資料センター共同代表)さんは小論文を掲載している:「世界 1」より:コピーペー:
顔認識の使用禁止条例――サンフランシスコ市
「健全な民主主義と顔認識は相容れません。住民は、監視技術に関する決定に発言権を持つべきです」
2019/05/14、カルフォルニア州サンフランシスコ市管理委員会(市議会に相当)は、市の公共機関による顔認証技術の使用禁止する条例案可決。カルフォルニア州といえばGoogleやEacebook' Facebook' Uber' Twitterなど巨大IT企業がひしめくシリコンバレーがある所だ。ビッグテックのお膝元の自治体で生まれた、米国でも初となるこの条例は、全米そして世界の注目を集めた。
冒頭の発言は、条例づくりに尽力してきたアメリカ自由人権協会(ACLU)北カルフォルニア支部のマット・ケイグル氏によるものだ。弁護士である氏は「顔認識技術は人々の日常生活を追跡するという前例のない力を政府に与えるものです。今回のこの条例は、この危険な技術の拡大を防ぐための実に前向きなものです」と成果を語った。
私たちの身体や行動の特徴を用いて個人を識別技術は、「生体認証(バイオメトリクス)」と呼ばれる。指紋はその最古のものだが、近年は顔認識や掌紋(手のひら)、静脈、音声(声門)、目の虹彩、眼球血管、耳形(耳介)、耳音響、そしてDNAと、その範囲は驚くほど広がっている。すでに世界各地で、パソコンやスマホのロック解除や銀行決済、スタジアムなどで実用化されている。顔認識技術の用途は、①本人同意にもとづき一対一の照合が行なわれる場合(スマホやPCのログイン、空港のゲート、ビルの入退館など)、②警察などが事前に犯罪容疑者の顔写真のデータベースを作成した上で、犯罪現場などで取得した容疑者の顔と照合する場合、③公共空間などで本人の同意なく不特定多数の人の顔を情報として入手し、管理する(警察による収集や、企業による顧客分析など)場合だ。特に③の用途におけるプライバシー侵害などが懸念となっている。
サンフランシスコ市議会は、条例可決にあたり次のように結論づけた。
「監視技術は我々のプライバシーを脅かす可能性があり、監視の取り組みは、歴史的に人種、民族、宗教、国籍、収入、性的指向、政治的見解によって定義されるものも含め、特定のコミュニティやグループへの威圧のために用いられました。顔認識技術が市民の権利や自由を危険に晒す傾向は、その主張されている利益よりも遥かに大きく、その技術は人種的な不正義を悪化させ、継続的な政府の監視から自由に生きる私たちの能力を脅かします」
条例は、市の公共機関が顔認識技術によって情報を取得し、保存し、アクセスすること、またその使用を違法とした。これにより、市の警察や交通当局、法執行機関は顔認識技術を使えなくなる。ただし企業や個人、連邦政府機関には規制は及ばないため、国際空港や連邦政府の法執行機関による顔認識技術の使用は禁止できない。
条例案を提案したアーロン・ペスキン市議は、「サンフランシスコ市は、IT産業の本拠地であるからこそ、その行き過ぎを規制する責任があるのです」(NYタイムズ、2019/05/14、) と語った。
« Topics NDB 活用でさらに明らかとなった口腔健康管理の重要性 ⑦ | トップページ | デジタル・デモクラシー ② »
「日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事
- ポストコロナ医療体制充実宣言 ①(2024.01.04)
- Report 2023 感染症根絶 ④(2023.11.30)
- Report 2023 感染症根絶 ③(2023.11.28)
- Report 2023 感染症根絶 ②(2023.11.24)
- Report 2023 感染症根絶 ①(2023.11.15)