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2022年4月17日 (日)

Topics NDB の活用でさらに明らかとなった口腔健康管理の重要性 ⑤

続き:

3.歯数と誤嚥性肺炎との関係

 歯科職種が要介護高齢者の口腔健康管理をすることで肺炎による発熱や誤嚥性肺炎の発症が抑制されるエビデンスは高齢者の保健医療に大きなインパクトを与えた。しかしながら、現在歯数と肺炎や誤嚥性肺炎との関連については様々な報告がされている。即ち、現在歯数が少ないほど肺炎になりやすいという結果がある一方で、その逆の結果も示されている。

 そこで、本研究では死亡率の高い誤嚥性肺炎について、NDB を用いて歯数と誤嚥性肺炎病名による医科受診との関連を検討した。

 2013 年 4 月診療分の NDB のうち、65歳以上で歯周炎病名(コード:50234009) および欠損歯病名(コード:5250001) を有する歯科レセプト(それぞれ 1,662,158 名分、356,662 名分)抽出した。

 次に、これらのうち同月医科レセプトにおいて誤嚥性肺炎病名(コード:5070003)および同月の医科点数情報を結合。なお、同一患者の重複受診も確認し、削除す。歯周炎病名では、歯数を 1~9歯、10~19歯、20~32歯の 3群とし、欠損歯病名では、1~14歯、15~27歯、28~32歯の3群として比較。

 歯周炎病名および欠損歯病名の対象者における性別、年齢および歯数(現在歯数または欠損歯数)を同時投入したロジスティック回帰分析の結果を―――歯数別の誤嚥性肺炎による医科受診のオッズ比(ロジスティック回帰:性・年齢調整済み)を作った。

 その結果、歯周炎病名の対象者では、20~32歯を基準として、10~19歯では調整オッズ比が1.20(95%信頼区間:1.08~1.34)となり、1~9歯では1.53(1.36~1.71)であった。また、欠損歯病名の対象者では、1~14歯の欠損歯を基準として、15~27歯のオッズ比は1.67(1.31~2.14)であり、28~32歯欠損では3.14(2.46~4,00)であった。

 この研究によって、65歳以上の高齢者では性や年齢を考えてみても、現在歯数の少ない者ほど、また、欠損歯数の多い者ほど誤嚥性肺炎の割合が高いことが明らかになった。

 本研究の横断研究で、追跡調査ではないため、歯数と誤嚥性肺炎との因果関係まで言及することはできないが、歯科受診が可能な地域在住高齢者において、誤嚥性肺炎での医科受診との関連を NDB という当時のすべての患者データで分析した最初の研究といえる。

 

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