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2022年5月20日 (金)

Topics 歯科口腔領域におけるタバコの影響と禁煙支援をめぐる ④

続き:

2. 喫煙による口腔細菌や口腔細菌叢の変化

 喫煙と歯科口腔疾患との関連を説明する生物学的な根拠の一つに、タバコ煙による口腔細菌や細菌叢の変化がある。

1) 歯周病原細菌への影響

 基礎研究において。ニコチンやタバコ煙抽出物の曝露が歯周病原細菌 Porphyromonas gingivalis のバイオフィルムの形成能力を高めることが報告されている。喫煙者の歯周病原細菌叢は、歯周状態にかかわらずディスバイオシス(細菌叢の構成の乱れ)が引き起こされ、歯周治療後において、喫煙継続者では改善が認められないが、禁煙者では健常化すると報告されている。歯周病原細菌叢に対する禁煙の効果を調べた研究では、歯周治療後1年後に、喫煙継続者では歯周病に関連する細菌が、健常部位に多い細菌が、それぞれ高い比率で再検出された。

 ニコチンと P.gingivalis の LPS (リポ多糖)の相乗作用により、ヒト歯肉線維芽細胞の炎症性サイトカインの産生量が増加するという報告もあ *る。

2) う蝕細菌への影響

 唾液中の Streptococcus mutans や Lactobacilli などのう蝕菌数は、喫煙者で多いという報告と喫煙の有無で差がないという報告があり、喫煙の影響は明確ではない。しかし基礎研究においては、ニコチンによりう蝕細菌、特に S. mutans の増加や成長、バイオフィルムの形成や代謝が促進されるという報告が多くみられる。デンタルプラークの形成過程におけるニコチンの影響を後ほど示す。

3) その他の影響

 口腔がんの発症に関与するヒトパピローマウイルス(Human Papilloavirus:HPV) インプラント周囲の細菌叢への喫煙の影響が示唆されている。カンジダ症症の原因菌である Candida albicans の成長促進についての in vitro 研究もある。

● デンタルプラークの形成過程におけるニコチン

  ペリクルの形成  SIgAの減少 アミラーゼの増加
  細菌の初期定着  細菌叢構成の変化 ● S.mutansと C.albicans の凝集促進 ● S.mutansのS.sanguis との競合促進
バイオフィルムの成熟  レンサ球菌のコロニー形成と代謝の促進

の影響

 

 

 

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