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2022年5月 4日 (水)

人間と科学 第332回 医療統計学リテラシー(4) ①

新谷 歩(大阪市立大学大学院医学医学研究科医療管理医学講座医療統計学教授)さんの小論文で、それをコピーペー:

正しい統計検定手法の選び方

 臨床研究、基礎研究を問わず、大切な研究結果をいざ世界に送りだそうという時、統計解析で大変苦労した、査読者から解析が間違っていると指摘を受けて途方に暮れたという経験を持つ方は多いのではないだろうか。近年多くの国際ジャーナルでは統計専門医による査読が行われ、統計をいかに適切に行うかが研究の質を決めると言っても過言ではない。

 いかなるデータにどのような解析手法が用いられるかを知ることは、統計学を学ぶうえでの登竜門ともいえる。図(略)は米国国立衛生研究所(NIH)のある年の各疾病ごとの研究費を縦軸、各疾病で失われた障害調整生命年を横軸に示す。ここで失われた生命年が大きい疾病ほど研究費が使われている。相関関係が示せれば、米国NIH は人命を救うために研究費を有効に支出していることになる。

 ピアソンの相関検定では p 値は 0.05 を上回るので、相関なしという結果が出ている。一方、スピアマンの相関検定の手法を用いると p 値は 0.0001 より小さいという強い相関が検出された。

 ピアソンの相関検定は解析に用いられる変数が正規分布に従う必要があるが、研究費などのコストや年数のデータは、偏った分布をとるので、この場合は正規分布を仮定しないスピアマンの相関検定が正しい。このような例のように、似たような検定でも使い方を間違えると、結果に大きく影響し、苦労して集めたデータも台無しになることがある。

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