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2022年5月23日 (月)

Topics 歯科口腔領域におけるタバコの影響と禁煙支援をめぐる ⑦

続き:

4. 最近の禁煙トピックス

1) 加熱式タバコによる禁煙阻害

 前述したとおり、加熱式タバコの健康影響については未知の部分も多く、紙巻きタバコよりも少ないとはいえ有害物質も多く含まれていることから、加熱式タバコを紙巻きタバコの代用品として勧めるべきではない。また、電子タバコでは禁煙効果が報告されているが、加熱式タバコでは明らかではない。加熱式タバコにはニコチンが含まれていることから、もし加熱式タバコに完全に切り替えたとしても、ニコチン依存は継続して禁煙(タバコ製品を完全に中止)を阻害する可能性がある。加熱式タバコ使用者には、健康を気遣う気持ちを受容しながら、禁煙をゴールとした助言や支援を行う。加熱式タバコ使用者のなかには、自分は喫煙者ではないと考える人もいるため、問診票の喫煙状況の欄に、加熱式タバコの項目を追加することも必要である。

2) 禁煙治療と禁煙補助薬

 歯科における禁煙治療は、関連学会から医療技術として提案されてきたが、いまだ保険適用に至っていない。医科の禁煙外来で行われる保険適用の禁煙治療は、ニコチン依存症の治験を目的としたもので、歯科は対象外だ。歯科を受診喫煙者の 65%を占めるニコチン依存症の疑いがある者では、OTC 医薬品のニコチンパッチ・ガムの使用や、医科の禁煙治療の勧奨も考慮する必要がある。医科の禁煙治療では、医療用のニコチンパッチと非ニコチン製剤であるバレニクリン(チャンピックス)が処方できる(現在、バレニクリンは出荷停止中、再開は2022年後半以降の予定)。

 2020年度からは、医科の禁煙治療の再診 1~ 3 回目の 3回分を、パソコンやスマートフォンを用いた遠隔診療で行うことが可能となった。ニコチン依存症治療アプリも保険適用となっている。遠隔禁煙治療を受けられる医療機関はまだ少ないが、もし利用できれば通院の時間的な負担を軽減することができるというメリットがある。

3) 新型コロナウィルス感染症(COVID-19) と禁煙

 世界的な関心事である COVID-19 と喫煙との関係は、禁煙の助言においてインパクトがある情報となり得る。喫煙は、厚労省の『新型コロナウィルス感染症(COVID-19) 診療の手引き』に重症化のリスクファクターとして掲載されており、喫煙者は新型コロナワクチン免疫が早く低下するという報告もある。喫煙と COVID-19 を関連づけた禁煙メッセージの効果も検証されている。禁煙メッセージの閲覧後における、禁煙意思レベルの上昇度と、直ちにあるいは 2週間以内に禁煙したいと回答したいと答えた者の割合は、COVID-19に関連づけた禁煙メッセージをタイミングよく使うことで、禁煙への準備性を高めることができるかもしれません。

 

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