Topics 歯科口腔領域におけるタバコの影響と禁煙支援をめぐる ⑤
続き:
3. 新型タバコ
1) 新型タバコの種類
国際的に流行している新型タバコは、大きく分けて「加熱式タバコ」と「電子タバコ」の 2 種類がある。日本国内では加熱式タバコの流行が顕著で、諸外国では電子タバコが流行。紙巻きタバコはタバコ葉を燃焼して発生させた煙を吸引するが、新型タバコは電気的に加熱して発生させたエアロゾルを吸引する。エアロゾルとは、液体の微小な粒子とガスの混合物で霧状のものであり、有害物質を含んでおり水蒸気とは異なる。
加熱式タバコは、タバコ葉を電気的に加熱して発生させたニコチンを含むエアロゾルを吸引する。タバコ葉を直接的に加熱するタイプや、電子タバコの仕組みで発生させたエアロゾルをタバコ葉の粉末に通すタイプなどがあり、専用のスティックやカプセルを本体に挿入して使用する。従来の紙巻きタバコを加熱するデバイスも発売されている。加熱式タバコは、製造タバコであり、タバコ事業法に基づいて販売されている。
電子タバコは、各種フレーバー入りの e- リキッドと呼ばれる液体を、電気的に加熱して発生させたエアロゾルを吸引する。ペン型やタンク型などさまざまなタイプがある。海外ではニコチンが含まれる e- リキッドが販売されているが、日本国内では医薬品医療機器等法により規制されている(個人輸入では入手可能)。ニコチンを含まない電子タバコは、製造タバコではなく玩具と同じ消費者製品である。
2) 新型タバコの有害物質
加熱式タバコのエアロゾルにも、発がん、呼吸器や心血管系の障害、胎児の発育や脳の発達への障害などを引き起こす有害物質が含まれている。ニコチンは依存性が問題となる。加熱式タバコ IQOS (アイコス)と紙巻きタバコと同等かやや低い。タールはやや低いが粒子状物質はやや高い。加熱式タバコはタバコ葉の燃焼を伴わないため、一酸化炭素はかなり低い。発がん物質はかんり少ないが含まれている。加熱式タバコの使用者が吐き出す呼出エアロゾルにも粒子状物質や発がん物質であるアルデヒド類が含まれていることから、他人への影響は否定できない。
電子タバコのエアロゾルには、ホルムアルデヒドやアセトアルデヒドなどの発がん性物質、循環器系疾患に影響する物質であるアクロレインなどが含まれる。電子タバコのアルデヒド類の量は、平均すると紙巻きタバコよりは少ないが銘柄間でばらつきが大きい。
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