内の目外の目 第233回 「口腔バイオフィルム感染症」の保険導入の経緯とその意義 ①
菊谷 武 (日本歯科大学口腔リハビリテーション多摩クリニック院長)さんの小論文を載せる コピーペー:
◎はじめに
平成27年に開催された日本歯科医学会による「新病名に関する検討会」において、「口腔機能低下症」、「口腔機能発達不全症」、「生活習慣性歯周病」とともに、「口腔バイオフィルム感染症」が提案され、その妥当性について議論された。本年、令和4年度診療報酬改定で「口腔バイオフィルム感染症」に係る検査等が保険導入された。そこで、この病名の意義について解説する。
◎高齢者等の口腔環境について
要介護高齢者、入院患者、周術期患者、緩和期にある患者、障害を有する患者などにおいては、口腔の運動機能の低下や唾液分泌量の低下に伴って自浄作用の低下がみられる。さらには、口腔衛生自立度の低下や不適切な口腔衛生管理もみられる。こうしたことにより口腔内に著しい汚染が生じる。
汚染の原因は、食物残渣や口腔粘膜上皮の剝離、喀痰の口腔内停滞などであり、これらを基に口腔内微生物を主体とした口腔バイオフィルムが形成される。口腔バイオフィルムにより、歯科疾患、口腔粘膜疾患、誤嚥性肺炎などを引き起こし、これらは生命予後の悪化や生活の質の低下にも関連する。
この口腔バイオフィルム感染症の発症予防、重症化予防には、個々の患者の生活環境や全身状態を見据えて口腔衛生状態を適切に管理する必要があるのが言うまでもない。
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