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2022年6月28日 (火)

内の目外の目 第233回 「口腔バイオフィルム感染症」の保険導入の経緯とその意義 ③

続き:

◎今後課題となる要介護等の口腔環境の変化

 8020達成者の増加が著しいが、一度歯ブラシ等の自立が困難になったり、全身さらには口腔にも運動障害がみられたりするようになり、口腔機能の低下とともに口腔内の自浄作用が低下すると、残存した歯は食物残渣や口腔内細菌に覆われる。

 私たちは、介護保険施設16施設に入居中の要介護高齢者で経口摂取を行っている 691 名(平均年齢 78.9~ 94.5 歳)に対して、この機器を用いて唾液中の微生物数に与える因子の検討を行った。その結果、口腔内細菌によってより汚染されていtのは、歯数の多い者だった。この結果は、8020達成者はバイオフィルム感染症の高リスク者であり、肺炎リスクが高いことを示している。多菌時代における口腔健康管理の重要性が強調される。Ryu らは、高齢入院患者の口腔衛生管理を目的にこの機器を用いて評価し、規定したプログラムによって、舌上の細菌数が減少することを示した。また、癌終末期の患者に生じた口腔汚染に対する口腔衛生管理においても、口内炎などの不快事項を改善し、口腔内細菌数も減少させることが可能であったとの報告もある。様々な場面において、口腔衛生管理の指標としてこの検査の導入を検討して欲しい。

◎さいごに

 口腔バイオフィルム感染症の検査の算定要件に、在宅等で療養を行っている患者に訪問診療を行った場合や著しく歯科診療が困難な患者を対象とするなどの制限がある。

 臨床現場等における実情では、周術期や化学療法、免疫療法などを施術されている患者を含め、基礎疾患による免疫力や口腔機能低下から口腔バイオフィルム感染症の病態を呈する者も多く、必要とされる状態の患者への対応ができにという課題も残っている。また、外来患者においても、同様の病態を示すも存在することから、今後、診療報酬における対象患者の見直しや適切な処置や医学管理の提案も必要である。

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