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2022年7月25日 (月)

デジタル・デモクラシー キッズ・テック―狙われる子供たち ⑥

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  その他のターティング広告

 ゲームの世界以外にも、ネット上には過激なコピーや性描写が入った広告、不自然に加工された写真や刺激的メッセージが添えられた瘦身・豊胸・脱毛などの広告、数量限定や初回低価格を強調する広告など、消費者をミスリードする誇大広告や虚偽広告があふれる。しかもネット広告の画像や表現は、TV広告より刺激が強い傾向がある。

 その手法も多様化しており、利用者の閲覧および購買履歴などの個人情報や利用者の興味・関心に合わせて広告を提示する「行動ターゲティング広告」、映像や音声をつけて商品・サービスを宣伝する「動画広告」、人気タレント、歌手、スポーツ選手や YouTuberなどがSNS上で特定の商品やサービスを推奨する「インフルエンサー広告」、SNSなどで投稿やニュースコンテンツの間に効果的に配置される「インフィード広告」、他の記事やコンテンツと似た体裁で制作された「ネイティブ広告」、広告主が作成したゲームの中に企業名やブランドロゴなどが入っている広告「アドバゲーム」など数多くある。

 先述の内閣府調査によれば、日本では12歳になると約6割の子どもが自分専用のスマホを持つが、それまでは親や兄弟のスマホを使うことが多く、子どもが見る情報や広告に大人と子どもの境界線を引くことは難しい。

 米国心理学会の研究では、4~5歳以下の子どもはTV番組と広告の区別ができず、7~8歳以下の子どもは広告の説得意図を十分に理解できないことが明らかになっている。因みに、日本では子ども向け番組の間に、番組内の人気キャラクターが登場する広告が挿入されることがある。「ホストセリング」と呼ばれるこの広告手法は、番組と広告の区別がつかないという子どもの未熟さを不当に利用することになるとして、欧米では禁止されている。

 巧妙かつ複雑に作り込まれたネット上の広告を、大人であれば「これは広告だ」と理解できても、子どもがそう認識し、批判的に読み解くことは難しい。理解力や判断力が十分に備わっていない消費者として「子どもの脆弱性」が指摘されるところだ。また、12歳以上であっても、自分の購買履歴などのデータが収集・分析され、商業目的で利用される仕組みまでを子どもが理解することは困難だ。

 その一方、ターゲティング広告推進のための研究は私たちが把握できないほどの速度と質量で進んでいる。高度化・複雑化されたマーケティングの世界において、重要な役割を占めるのは IT と購買を結び付けるための研究だ。食品業界やIT業界は、デジタル・ネイティブの子どもたちがゲームやSNSなどでどのような行動を取っているかを日々監視して、心理学者や神経科学者を雇用し研究を進めている。これら企業は、TV や YouTube ' Facebook や インスタグラムを利用する若者たちの脳の活動を評価する神経科学技術の研究開発にも投資をしている。

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