デジタル・デモクラシー キッズ・テック―狙われる子供たち ④
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エマ・チェンバレン(21歳)は、10代の若者、特に女の子がフォローする「最も影響力のあるZ世代」だが、彼女の TouTube登録者数はわずか 2年で 1億人以上となった。彼女の着る服、食べる物は常に若者の消費と直結し、巨大な市場を形成している。
低年齢の子ども向けにも、インフルエンサー・エコノミーは広がる。YouTubeには、「キッズ・インフルエンサー」と呼ばれる存在が多数登場し、おもちゃから映画、ジャンクフード迄、様々な商品の宣伝を行い、そのフォロワーが数百万人に及ぶ例が多い。その代表例の一人、ライアン・カジは10歳のキッズ・インフルエンサーだ。彼が登場する YouTube チャンネル「ライアンの世界」は、年間2000万ドル以上の広告収入に加え、2億ドル以上のブランド商品の売上があると言われている。
YouTubeには、これまでも大手食品・飲料メーカーが運営するブランドチャンネルが存在してきた。例えば、コカ・コーラのチャンネル登録者数は340万人、ペプシは85万1000人、マクドナルドは43万人の登録者を有している。ここでは日々、商品のCM、ミュージックビデオ、インフルエンサーと商品のコラボ映像など子ども・若者にとって魅力的な動画コンテンツが流れている。
企業間での投資、統合も進む。ファストフード企業は、フードデリバリー・プラットフォーム企業に投資し、提携するようになった。マクドナルドの「McDelivery」サービスは、ウーバーイーツとドアダッシュと提携している。2019年にドアダッシュと提携するにあたり、マクドナルドは「100万個のビッグマックを1 セントで提供する」と発表した。加えて最高賞金100万ドルのモバイルアプリ懸賞を実施した。またAmazonとケンタッキー・フライド・チキンの技術提携によって、アレクサに向かってチキンが注文できるようになり、カーネルおじさんの声で受け答えしてくれる。
「デジタル・フード・マーケティングは、子どもと若者の生活の中心にまで到達するようになりました。前例のない範囲の大規模なグローバルな商業監視システムだ。食品業界とビッグ・テックは、子どもたちを継続的に監視し、デジタル文化の中で、友人との交流、デジタル機器やプラットフォームの利用、ブランドへの感情などあらゆる行動を追跡して、彼らに関する膨大な量のデータを蓄積します。そしてそれを新たなマーケティングに利用、不健康な商品を消費した子どもに『報酬』を与えるのです」(前出 ジェフ・チェスター氏)
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