デジタル・デモクラシー キッズ・テック━狙われる子どもたち ②
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子どもの世界で拡大するターゲティング広告
子どもを取り巻くインターネット環境の中で、最も懸念されているものの一つが、オンラインゲーム依存(ゲーム障害とも)の問題だ。ゲームに熱中し、利用時間を自分でコントロールできなくなり、日常生活に支障が出る病気である。 WHO は、2019 年5月にゲーム障害を「新たな病気」として国際疾病分類に加えた。ゲーム障害の患者数は明確に把握できないものの、厚労省の調査では「ネット依存」と疑われる人は成人で推定約 421 万人、中高生で約93万人(2017 年)。このうち約9割がゲーム障害とされる(37%はSNS・動画依存。両者の重複あり)。
オンラインゲームが引き起こす健康障害や学力低下の問題は、すでに日本を含む各国で課題になっている。これに対しては、家庭での利用時間規制や医療機関との連携、さらには「香川県ネット・ゲーム依存症対策条例」のように物議を醸す動きがある。ゲーム依存は国際的にも深刻な社会問題となっているが、ここでは、ゲーム依存とも関わる子どもへのターゲティング広告の問題を扱う。
子どもへのターゲティング広告は、ビッグ・テックをはじめ多くの産業による巨大な力の公使であるにもかかわらず、親を含む大人からは見えにくいからだ。「子どもが何時間オンラインゲームをしたりYouTubeを視聴しているか」を気にする親は多いだろうが、そこで、「どのような広告を見せられているのか」までを把握し、警戒することは難しい。子供たちは何の防備もなくデジタル消費社会に晒されていると言ってもいい。
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