« 人間と科学 第336回 転換期を迎えるエネルギーシステム(3)― 1 | トップページ | 人間と科学 第336回 転換期を迎えるエネルギーシステム(3)―③ »

2022年7月 3日 (日)

人間と科学 第336回 転換期を迎えるエネルギーシステム(3)―②

続き:

 「シェール革命」は、米国の石油と天然ガス生産力を飛躍的に高め、米国の立ち位置一変する。IEA「World Energy Outlook 2012年版」でとりわけ注目を集めたのは、米国が早晩サウジアラビアを抜いて世界最大の石油生産国に返り咲き、両燃料とも長らく輸入依存が強まる傾向にあったのが一転自給に向かう、との分析結果だった。「供給懸念の大幅な後退により、米国の対中東介入戦略がどう変化するのか?」10年前に各地の記者会見でたびたび出たこの質問は、及ぼす影響の大きさを再認識させるものであった。

 トリレンマのまとめとして、3項目の中でも様々な要素の存在を強調しておきたい。安定供給と経済効率との結び付きは元来強いし、気候変動とも密接に関連する。風力や太陽光による発電が主流化するのは地球環境上、大きなプラスである。同時に、枯渇の心配なく、国の自給率向上にもつながるなどの点では枯渇エネルギー安保にも資する。一方で、出力の制御が難しい変動制電源の割合が高まるに伴い、電力の安定供給確保のため従来システムを大きく見直す必要が出てくる。その一環として役割を担うバッテリー用途のリチウムなど、特定地域に分布が偏るレアメタルを確保することも新たなエネルギー安保の枠に入るともいえる。

 トリレンマで求められるのは、時代の趨勢や地域の条件も踏まえ、技術、関係性や時間軸を考慮した高度な次元のバランスだ。

« 人間と科学 第336回 転換期を迎えるエネルギーシステム(3)― 1 | トップページ | 人間と科学 第336回 転換期を迎えるエネルギーシステム(3)―③ »

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事