人間と科学 第336回 転換期を迎えるエネルギーシステム(3)―③
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ここから、エネルギーが使われるまでの流れを俯瞰する。例えば一番上の赤い線は石油の流れだ。大半が転換部門(エネルギー転換➡最終エネルギーは運輸部門へ7割が瘻度交通(船舶・航空・鉄道)、産業部門へ工業製品、原料のエネルギー使用、そして民生(家庭・業務)部門の暖房、給湯、厨房、原料の非エネルギー使用。大半が転換部門で精製されガソリンやディーゼルなどとなり、最終部門のうち運輸特に自動車やトラック、バスといった道路交通で消費される。残りの大半は石油化学原料として使われる。
石油や石炭があって「電力」がなかったのは、転換部門のうちの工業製品、素材、動力・照明、発電からの電力が産業部門に表されている。ここで、最終えねるぎーは動力・冷房・暖房、民生部門また発電ロスも結構大きく表れる。一方で、発電部門に絞って、投入される一次エネルギー源(「電源構成」)を議論することも多い。「再エネの割合を〇%にする」目標が出されたとして、「一次エネルギー供給上のシェア」か「電源構成」のどちらかのことなのかで話は違ってくる。
現実的ではないが、もし道路上のすべてが電動車両(EV)になると仮定してみよう。道路交通に向かう石油エネが電力に置き換わり、転換部門にある発電量がその分大幅に増加することになる。ここで注意すべきは、たとえ EV が走行中に排気ガスを出さなくても、動力源となる電力の大半が化石燃料から発電されるままであれば、発電部門からその分多くの CO 2 を排出することになるということだ。こうしたライフサイクル的な視点も忘れないようにしたい。
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