ウイルス感染症事情 Report 2022 ③
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コロナ禍で人々が感染症に敏感になっている矢先、英国などでサル痘の感染例が複数報告され、推移が注視されている。サル痘ウイルスはヒトの天然痘ウイルスと類縁だが、天然痘ウイルスよりも弱毒で感染力も強くないとされる。主に中央アフリカや西アフリカ地域で散発的に感染例がある。天然痘ワクチンはサル痘にも有効だが、天然痘が根絶されて予防接種は行なわれなくなったため、天然痘類縁ウイルスに対する免疫力が低下していることが感染につながっているのではないかとの指摘もある。
さらに最近では、原因不明の小児急性肝炎が英国や米国などで報告され、日本でも広がる気配をみせている。欧州などの症例からからは肝炎ウィルスではなく、アデノウイルス 41型や新型コロナウイルスなどの検出例が報告あり。日本の症例からはアデノウイルス 1型が検出されている。いずれも肝炎との関係はまだ解明なし。
新型コロナウイルスのパンデミックによって、ウイルスの世界のバランスが大きく影響を受けている。加えて気候の温暖化でウイルスの活動地域にも異変が起きつつある。ただでさえ次になにが起こるか分からないウイルス感染症の先行きはいよいよ混沌としているようだ。
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