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2022年7月22日 (金)

デジタル・デモクラシー キッズ・テック―狙われる子供たち ③

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ビッグテックとビッグ・フードの結託

  コカ・コーラ、ペプシ、マクドナルド……。我々にもお馴染みのグローバル食品企業、特に若者に人気のファストフードや飲料企業は、すでにデジタル・ネイティブ世代の子ども・若者の生活のあらゆる場面に入り込み、マーケティング戦略を活発に行っている。

 2021年5月、米国の四つの市民団体「バークレーメディア研究会」「カラー・オブ・チェンジ」「ユニドスUS」「デジタル・デモクラシーのためのセンター(CDD)」が共同し、報告書「ビッグ・フード、ビッグ・テック、そして世界的な小児肥満パンデミック」を公表した。

 執筆者の一人であるジェフ・チェスター氏(CDD)は次のように語る。

 「いま子どもたちを取り巻いているのは、『デジタル・フード・マーケティング』と呼ばれる、ビッグデータと人工知能(AI)、機械学習を使った大規模で統合されたデータ駆動型の一大システムです。かってのTVや雑誌の広告とはまるで違う世界だ。ビッグフード企業とビッグ・テックは提携し、統合され、その境界は曖昧なものになっている」

 デジタル環境の中でファストフード企業は、芸能人やスポーツ選手、SNS上の人気者を利用した「インフルサー・エコノミー」を展開。2020年、コロナ感染拡大で多くのレストランが閉鎖中、マクロナルドは人気ラッパーであるトラヴィス・スコットと提携し、彼の名を冠した「トラヴィス・スコット・ミールセット」の販売を開始した。人気ラッパーの好物をすべて組み合わせたこのハンバーガーセットは、瞬く間に全米に広がり、食材不足となる店舗も現われるほどだった。

 企業が有名人を起用するキャンペーンは新しいものではない。しかし現在は、多くの子ども・若者がスマホのアプリを通じて商品を注文するよう、特典やサービスによって動議付けられている。つまりマクドナルドは単に商品を販売するだけでなく、自社アプリを通じて膨大な顧客データを収集し、その後のマーケティングに活用できるのだ。

 さらにインフルエンサー・エコノミーはSNSの世界で拡張し続けている。インスタグラムや YouTube' TikTok では、「デジタル・セレブリティ」と呼ばれるインフルエンサーが次々と生まれている。例えば、米国のカリスマ・ユーチューバーであるエマ・チェンバレンのことである。

 

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