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2022年8月 1日 (月)

TOPICS 事例から学ぶトラブル予防と後期解決の方略 ②

続き:

1. 事例1 (カルテ開示)

1) 事案の概要

  患者の家族と名乗る者がアポなしで来院。「今すぐカルテのコピーをよこせ」、「すぐに渡せないのは違法だ」、「コピーを渡せないなら自分でコピーをするから原本をよこせ」などと言って、カルテを 要求。受付にて、すぐには対応できない旨繰り返し伝えたところ、患者は1時間以上居座ったのちに医院を後にした(防犯カメラ・録音なし)。

2) 当事務所への相談後の経過

 2日後にアポなしで来院。受付スタッフが、診療情報等開示請求申請書、本人確認書類、委任状および同意書を提出してもらうこと、並びに、開示費用がかかることを伝えたところ患者は激昂(録音あり)。警察に通報し、連行してもらう。その後、連絡なし。

3) ポイント

(1) 診療録の所有者

 診療録は、法律上、管理者にて保存する義務がある上(歯科医師法23条2項)、医師が単に患者の身体情報をそのまま記録したものではなく、診療契約の趣旨にのっとり、情報の収集、選択、記載方法やその内容に医師の判断や評価が介在しているものであり、診療録の作成に必要な用紙や検査機器等は医師の所有・保有するものである。そのため、診療録の所有権は管理者にあると解釈されている。そして、診療録の記載内容は、後日改変されたと認められる特段の事情がない限り、医師にとっての診療上の必要性と法的義務との両面によって、その真実性が担保されており、医療訴訟の際の重要な証拠となるものである。

 そうすると、例えば、診療録の原本を患者に渡したことによって(貸し出しも含む。)、診療録を紛失や棄損された場合、医療訴訟の際の重要な証拠がなくなり、かつ、管理者は刑事罰を受ける可能性がある(歯科医師法31条の2第1号)。したがって、患者からの原本要求に対して応じることは望ましくない。なお、診療録に限らず、その他の医療記録も考え方は同様である。

 

 

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