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2022年8月19日 (金)

デジタル・デモクラシー 暗躍するデータブローカー ②

続き:

  監視資本主義を推進するデータブローカー

 ビッグデータとAIによって、私たちの行動は容易に予測されるようになった。この一大システムは「監視資本主義」と呼ばれ、その主要な担い手は米国の巨大IT、GAFAだが、データブローカーはここで「中間業者」として大きな役割を果たす。GAFAの周辺で、データを買い占め、販売することで、監視資本主義のエコシステムをさらに強化しているのだ。

 ところが、その実態やビジネス慣行は十分に可視化されていない。GAFAへの規制や批判が高まる中、データブローカー企業は同様の批判をうまく潜り抜けていると言ってもいいだろう。ここに、合法的に行なわれるビジネスの闇がある。

 例えば、口外に暮らす貧困家庭を対象に高金利ローンの広告を出したい企業がいたとしよう。この企業は、データーブローカーに「郊外でぎりぎりの生活をしている人々」のデータセットを依頼し、購入する。このデータにもとづき、高金利ローン会社が貧困層をターゲットに広告を出せば、生活に苦しい人々がローン地獄に陥る危険がある。しかもその人たち自身は、「なぜ自分にそうした広告がみせられるのか」「自分のデータがどのように収集・分析されているのか」について何も知らされないままである。

 2017年、フィナンシャル・タイムズ紙の欧州テクノロジー担当記者であるマドゥミタ・ムルギアは、データブローカーの実態を明らかにするため、自身の個人情報がどこまで収集され、それらが統合されて自分がどのようにプロファイリングされているのかを調査した。

 「『データ追跡会社(データブローカーの形態の一つ』と呼ばれる企業が行なった私についての分析は、私という人間をかなり忠実に定義していました。『26歳のアジア系英国人女性で、メディア関係の仕事に就き、住まいはロンドン南西部。過去にサセックスノの二つの住所とロンドン北東部の住所に居住、子ども時代をケントにある一戸建てで家族と過ごし、毎年休暇でインドを訪れていた。家族は買い物のほとんどをオンラインの Ocado で済ませ、タイ料理とメキシコ料理を好み、慈善事業にも寄付している。映画やベンチャー企業に関心があり、金曜日には仕事帰りにパブに行くことが多い。過去12か月の間に休暇を5回取得、年収は約3万~4万ポンド……』」

 ムルギア氏は、自分に関するプロファイリングの結果に衝撃を受けたという。Googleマップ、検索履歴、Facebookのやりとり、クレジットカードの決済履歴などインターネットを利用するたびに行動履歴が逐一記録されていることは知っていたが、その「断片」をつなぎあわせれば、ここまで統合的な分析ができてしまうのだ。

 「利潤追求システムに対して不安がさらに高まりました。購買行動や位置情報などが公の情報(土地登記や住民税、有権者登録など)とも組み合わせられると、たいしたことのない情報が多くを露呈し始めます。例えば Fitbit という健康アプリは、心拍数や歩き方を測定し記録します。このデータが第三者に提供されれば、身長、体重、性別までも特定することが可能です。私たちの生活は、このようなデータ製品にパッケージ化され売り物にされている。言わば私たち自身が『製品』なのです」

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