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2022年8月21日 (日)

デジタル・デモクラシー 暗躍するデータブローカー ③

続き:

   監視されるのではなく私たちが企業を監視する

  欧米ではデータブローカー企業への懸念の声は 2015年前後から存在してきた。2014年5月、米連邦取引委員会 (FTC) は、「データブローカー:透明性と説明責任の要求」と題する報告書を発表した。9社のデータブローカーいついて調査し、消費者の詳細なプロフィールをオンライン・オフラインのさまざまな情報源から、本人が知らないうちにほぼすべての米国の消費者の情報を収集している実態を明らかにした。同時に、ブローカーによるデータ収集法やデータの用途・販売について、またそれらを修正、削除する方法について、より簡単に消費者が知ることができるための法の必要性も提起した。同委員会代表のエディス・ラミレス氏は、報告書の発表時にこう述べる。

  「データブローカーは、あなたが住む場所、購入するもの、収入、あなたの民族、子どもの年齢、健康状態、そしてあなたが興味を持つものや趣味について知っている。この業種は闇の中で活動しており、そこで扱われている情報の膨大さは驚くべきものです」

  しかしデータブローカーへの規制は、どの国でも大きな進展は見られない。規制の難しさは、政治的な理由もある。米国市民団体「The Markup」の調査によれば、2020年、データブローカー企業による連邦政府へのロビイ費用は合計 2900 万ドル(25社の合計)だった。参考として、Facebook は1社だけで年間約 1900 万ドルをロビイ費用に使っている。それには及ばないものの、データーブローカー企業によるロビイ費用は年々増加しており、GAFA企業にも匹敵する勢いだと同団体は分析する。

  データブローカーを規制する主な方法は二つだとされる。一つは、販売できるデータの種類を制限する方法であり、もう一つはデータの販売先を規制する方法だ。しかし、すでに多岐にわたるデータが多様な経路で売買され、また既存の個人情報保護令との整合性など、規制案は複雑で時間もかかる。そうしてるうちに、私たちの情報はブローカーによって次々とマーケティング市場へと送られていく。ムルギア氏は、自身のプロファイリングを突き止めた後の避難策として、経験談を語る。

  「何もかもをやめるなんて現実的に無理でした。SNSや検索、経路探索アプリは、すべて私が慣れ親しみ必要とする生活の一部だからです。そうではなく、知識そのものが力になるのだと気づきました。私のデータが共有され、収集される様々な方法を知っていることで、どこに情報を開示するかに責任を持てます。

  『無料』を謳ったサービスへの登録をやめた。アプリをダウンロードするときは、どの情報の利用許可を与えているかを必ずチェックして、位置情報など不必要なものはオフにします。自分のデータが残す足跡に気づき始める人が増えれば、こうしたデータの保護と管理を企業に要求することができるでしょう。企業が軽々しく個人情報を漁って保管し、無作為に販売することがコストに見合わなくなる日も来ます」

  まずは、データブローカーのビジネスモデルを可視化し、ブローカーが私たちの情報について何をしているのかを明らかにすることが大きな一歩である。

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