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2022年8月 2日 (火)

TOPICS 事例から学ぶトラブル予防と早期解決の方略 ③

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(2)開示義務

   患者の医療記録が管理者のものでも、医療記録の内容は、患者の個人情報であるため、患者の開示(閲覧・コピーの交付)要求には、原則として応じる法的義務ある<個人情報の保護に関する法律(以下「個人情報保護法」という。)33条、診療情報の提供等に関する指針>。

  患者の開示請求を正当なく拒否すると。証拠不全(将来の訴訟に備えて、事前に医療記録などを保全・開示させる手続)が行われることがある。また、歯科医師は患者に対し、診療契約に伴う開示義務があると解釈されていることから、開示拒否による慰謝料請求が認められる可能性もある。

(3) 具体的な開示手続方法

  開示申請者からの開示請求に対して、無制約に開示しなければならない法的義務はない。そのため、以下の点に注意して開示手続をする。

  ①  開示手続の決定と申請書の提出

   医療機関の管理者は、開示請求を受け付ける方法を定めることができ、開示申請者は、医療機関の管理者が定めた方法に従って、開示請求を行う必要がある(個人情報保護法37条1項、個人情報保護法施行令12条)。申立ての方式は書面によることが望ましいとされており、一般的には、開示請求者から診療情報等開示請求申請書を提出してもらう方法で開示手続を行う。

  ②  開示申請者の本人以外の場合

   医療情報は、プライバシー性の高い個人情報であるため、原則、患者本人のみが開示申請可能である。そのため、患者本人以外の者が開示請求する際には、申請者の身分証明書とともに、委任状や同意書の提出を求める。

  ③  開示方法・開示に要する時間

   医療機関は、申請書に記載された医療記録を開示申請者の開示希望方法(閲覧もしくはコピーの交付)に従って準備する。開示の方法が閲覧希望の場合には閲覧日程の調整を、コピーの交付希望の場合にはコピー作成に要する期間の目安を伝える。

  ④  開示費用

   医療記録の開示は無料で行う義務無し、法律上、実費を勘案して合理的であると認められる範囲内での金額を徴収する。(個人情報保護法33条、診療の情報等に関する指針)。そのため、事前請求があった場合に備えておく。

  ⑤  医療広告

   カルテ開示に関する事項は広告可能な事項のため(医療法6条の5第3項12号)、開示方法や開示費用をホームページなどに掲載することも可能である。

4)小括

 事前にカルテ開示の方法について定めておくことによって、その場で開示を強要する患者に対抗することが可能となる。なお、基本的には開示請求に応じる義務があるため、日頃から開示請求がなされることを前提とした記録を心がける必要がある。

   

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