人間と科学 第338回 転換期を迎えるエネルギーシステム(5)――③
続き:
(1)パリ協定のもと提出している中期目標である「国が決定する貢献(NDC)」(2021年6月までの更新を含む) →各国は温室効果ガスの排出削減目標を5年毎に提出・更新する義務を課されている。
(2)国の長期目標として多くの国が宣言している排出量ネットゼロ
先の公表政策シナリオとの差を「implementationgap(公約実現へのギャップ)」と呼んでいるように、具体的な施策で達成を担保することが必要になる。本シナリオでは、低炭素エネルギー源がさらに急速に増加するのに対し、石油が2025年以降にピークを迎えるなど、化石燃料のシェアは半分強にまで下がる。今世紀末の気温上昇は2.1℃と試算され、長く目視されてきた「2℃目標」に近づく。
2℃目標の達成が現実的でないとの見方も根強かったことからも、このシナリオ達成の困難さと意義がおかがわれる。それでも温度安定化には至らず、世紀を超えても緩やかながら上昇を続けることが示唆される。2050年カーボンニュートラルをゴールに置いてバックキャスティング型で作られた【50年ネットゼロシナリオ】と比較すると、乖離「ambition gap(野心度のギャップ)」は大きい。
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