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2022年9月 9日 (金)

TOPICS 歯科領域における日本語オノマトペの奥深さ ①

河野 亘(京都府歯科医師会理事)さん、岸本 知弘(京都府歯科医師会理事)さん、安岡 良介(京都府歯科医師会会長)さんの著書を載せる コピーペー:

はじめに

 食にまつわるアンソロジーとも称される『もの食う話』には、超一流作家らの食に関するエピソード、作品の一部が掲載され、ここかしこに「ペロリ」、「パクパク」、「ゴックン」などのオノマトペが散りばめられている。

 フランス語由来のオノマトペ (Onomatopee、英:Onomatopoeia) とは、擬声語を意味し、日本語での擬声語とは、擬音語と擬態語の総称となる。擬音語とは、物が発する音や声をまねて字句で描写した語句のことである(「サラサラ」、「ドカーン」、「ワンワン」他)。擬態語とは、状態や心情など、音のしないものを表す(「ツンツン」、「デレデレ」、「ニヤニヤ」他)。さらに日本語には、聴こえたままの音をそのまま表すことのできるカタカナがあることも、オノマトペの数、種類が多い要因とも言われている。

 ところで佐久間らによれば、神経障害性疼痛患者の発する痛みにオノマトペから、診断の一助となる情報獲得の可能性があるという。我々の日常歯科臨床の場でも、「奥歯がジンジンあるいはシクシク痛む」は歯髄炎、知覚過敏などの診断に有効であるとともに、チェアサイドでは咬合調整の際に「カチカチ嚙んでください」、側方滑走運動の調整では「顎をギシギシ動かしてください」など、すでにオノマトペによる表現が一般に広く活用されており、臨床・診断にも非常に役立っている。

 筆者らは、これまで食感(food texture)の変化と咀嚼運動の関連についての研究に携わったことから、食感のおいしさを表す日本語オノマトペの豊富さに着目し、その感覚を共有するためには、歯を含む口腔内を健全に保つことが大切であることを伝えてきた。ご縁をいただいた京都府立大学文学部和食文化学科では、「おいしさの科学とデザイン」という講義の一部を、また学校法人大和学園京都調理師専門学校でも、特別講義を受け持たせていただく機会を得た。

 そこでは、おいしく食べるための咀嚼の基本、旬の食材の食感を正確に感じるセンサーとして健康な歯は必須であることなどを、「食感を表す日本語オノマトペ」を通してアピールするとともに、調理道具である包丁を毎日丁寧に砥いで手入れするのであれば、食感を感じる大切なセンサーである歯も、定期的なメインテナンス等の必要があることを解説した。

 令和元年度・京都府歯科医師会主催の「歯のひろば」では、「人生100年時代を美味しく過ごす 食べる幸せは歯の健康から」と題して、京都府立大学京都和食文化研究センター長・宗田好史教授、学校法人大和学園京都調理師専門学校・仲田雅博校長および京都府歯科医師会・安岡良介会長によるパネルディスカッションが行われた。人生100年時代の食について、「美味しく食べるため」、「認知症患者にも美味しく!」などのテーマについて、オノマトペを含むあらゆる角度から活発なセッションが行われた。

 ここでは、歯科領域において不思議な力をもつ日本語オノマトペの奥深さについて、紹介する。

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