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2022年9月24日 (土)

HIV 陽性者を歯科医師が診るということ ⑧

続き:

 6. S 歯科クリニック(東京)

Profile

     1993年4月より東京都品川区で開業。最寄り駅より徒歩5分、住宅地マンション1F 診療ユニット3台。スタッフは院長と歯科衛生士 1名、歯科助手 3名。標榜は歯科一般、小児歯科。近隣のグループホームとの委託により訪問診療を実施。

院長の自己紹介

 1957年東京都品川区生まれ 1984年 N大学歯学部卒、母校保存学教室修復学学講座入局

 1989年4月~1992年3月東京都新島村国保本村診療所歯科医長として出向(離島・へき地医療に従事し、歯科医師としての礎を築いた時期)

 1990年歯学博士、1992年よりN大学歯学部兼講師 1995年より東京 HIVデンタルネットワーク(THDN)代表

 フランクシナトラの「My Way」を愛し、「I did it my way」を最期の言葉にしたいと願う。生まれ変わったら飛行機で大空を飛びたい。

Q. 歯科医師になった理由

  国立大学医学部希望でしたが、一寸、社会勉強をし過ぎて2年浪人し諦めて滑り止めに歯学部へ。まあ、歯科医学っていう医学自体にも興味がありだから良いかもね、という貧弱な大学志望動機でした。

Q, HIV 陽性者の最初の歯科治療は、いつ、状況は、きっかけは?

 開業以前(1992 年) に知り合った HIV 陽性者のためのボランティア団体の職員({「ぷれいす東京」代表生島氏)から、陽性者が歯科開業医から拒否されて言う現状を聞き、「開業したら陽性者の歯科治療をやってくれない?」という話になったのです。当時エイズに関する知識など週刊誌レベルで、即答を避けて家族に相談する…と曖昧な返事をする。

 その後妻に相談したところ、妻の友達がその主人が HIV の研究者だから彼に相談してみる?という事になり、相談に行った。

 当時 HIV の研究でアメリカの CDC に留学されて帰国後は Y 市立大学にいらした北村勝彦先生に相談した、「アメリカでは HIV 感染者の歯科治療は当たり前に開業医で治療しているし、HIV の感染力も弱いからグローブして治療すれば大丈夫だから、是非治療してあげて欲しいな」と言われた。

 大学医局員時代になかなか生き手の無かった離島・へき地医療を経験したいなど、人がやりたがらないことが好きでしたし、離島――島民の治療要請に絶対拒否できなかったという経験もあり「やってみようか!」という感じで準備を始めめた。

Q. HIV 陽性者の最初の診療の感想は?

 1994年6月、ぷれいす東京から紹介されたエイズの患者さんが大1号の患者。いきなりの抜髄症例!血液を見た時に「この中にはHIVが山ほど入っているんだろうな」と淡々とした気持ちと、良い意味で恐れによる緊張感を覚えています。

 その患者さんは、治療の間も某都立病院に入退院を繰り返しており、中途半端になる歯科治療を入院中には入院先の歯科でも続けられるようとしたが、本人が「バイ菌扱いされるから絶対嫌だ!絶対退院して来るから先生に治してもらいたい!」との事で最後まで治療を終えました。最後の時に「先生!誰も診てくれなっかた僕の歯を最後まで治してくれて本当にありがとうございました。もうここまで通ってくるだけの体力が無くなっているので…でも本当にありがとうございました。」彼の涙が忘れられない!今まで「ありがとう」という言葉を何万回も聞いたと思います。彼の「ありがとう」という言葉が深く心に残り、その彼の「涙ながらのありがとう」が私を支えてこの先も陽性者を受け入れ続ける決心をしたんです。いい話でしょう!

     つづく。

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