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2022年10月21日 (金)

Science 長期療養する要介護高齢者における摂食嚥下障害と口腔内薬剤耐性菌の分布 ①

吉川 峰加(広島大学大学院医系科学研究科先端歯科補綴額准教授)さんの小論文を掲載 :コピーペー:

はじめに

 感染症に対し抗微生物薬が効かなくなることを薬剤耐性と言う。本来、抗微生物薬は微生物が増えるのを抑えたり、壊したりする薬である。一方で、微生物も様々な手段を使って薬から生き延びようとする。近年では、細菌の薬物耐性が注目されている。このまま対策を行わないと 2050 年には、がんよりも薬剤耐性のほうが大問題になるといわれ、早急な対策を行っているところだ。

 細菌に使用する抗微生物薬を抗菌薬(抗生物質)と言う。抗菌薬を使うと、抗菌薬の効く菌がなくなり、薬剤耐性を持つ細菌が生き残る。その後、薬剤耐性を有する細菌は体内増殖、ヒトや動物、環境を通じて全世界へ広がる。抗菌薬の不適切使用がこれを助長し、この現状が続くと、細菌感染症に使用できる薬剤がなくなってしまうことが危惧されている。 WHO は2011年に世界で取り組むべき問題で、この薬剤耐性を掲げ、「No Action today, No Cure tomorrow(今日 アクションをしなければ、明日の治療はない)」とアピールした。

 2020年の人口動態統計月報年計(概数)の概況にようと、わが国における死亡原因では肺炎が5位(5.7%)で、誤嚥性肺炎が6位(3.1%)である。要介護高齢者では、特に誤嚥性肺炎の予防対策が周知され、臨床現場でも様々な取り組みがなされている。要介護レベルの悪化した高齢者では、摂食嚥下機能も低下している者が多く、免疫能の低下とともに誤嚥性肺炎を繰り返すようになる。

 急性期病院では、すでに薬剤耐性菌について様々な対策がなされる一方、いまだ詳細が不明である慢性期病院や長期療養型施設等において、口腔内の薬剤耐性菌(口腔内薬剤耐性菌)の保菌調査を行ったところ、口腔内から誤嚥性肺炎を引き起こす薬剤耐性菌を認めた。そこで、その詳細報告するとともに、要介護高齢者に対する誤嚥性肺炎予防対策を歯科的観点から考えてみたい。

 

 

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