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2022年10月28日 (金)

Science 長期療養する要介護高齢者における摂食嚥下機能と口腔内薬剤耐性菌の分布 ⑥ 

続き:

2) 舌圧への補綴学的アプローチ「舌摂食補助装置(Paratal Augmentation Prosthesis:PAP)」は略

3) 要介護高齢者におけるゼリー粉砕能力の見極め

 臨床現場で「この患者さんは、形のあるものをたべられますか?」といった質問を受けることはないだろうか?

 2017年11月~2018年8月までに、長期療養施設Cへ入所する189名の要介護高齢者のうち、3食経口摂取し、簡単な指示へ理解・対応可能で、急性の全身疾患や歯科疾患を認めない者72名を対象、口腔機能と口腔内でゼリーを粉砕する能力についてパイロットスタディを行なった。

 「今からゼリーを口の中に入れるので、いつもどおり食べてください」と指示、対象者が試験食品のゼリーを口の中で粉砕することができるか、また摂食スタート時の最初の顎の動きの後に、口腔内のどこで、ゼリーを舌で移動させて嚙んだ・押しつぶした・押しつぶそうとしたか(アクティブサイト)を確認した。

 試験食品のゼリーとして、軟らかいゼリーと硬いゼリーの2種類を用い、サイズは同じ(タテ30mm×ヨコ20mm×厚さ6mm)。軟らかいゼリーは、粥やスクランブルエッグと同等の物性を、(おいしくせんい桃味、ハウス食品)を、硬いゼリーは、軟飯や卵焼きと同等の物性のもの(身にゼリー桃味、日清オイリオ)を準備した。――日本介護食品協議会が規定した規格「ユニバーサルデザインフード」における区分「容易にかめる/歯ぐきでつぶせる/舌でつぶせる/咬む必要がないに基づいた。各ゼリーの粉砕可否については、2片以上に粉砕できた場合を粉砕可能と定義する。

 いずれをも、アクティブサイトは同じ者で同じ部分であり、一貫性が保たれていた。72名中41名は上下残存歯での咬合支持を有し、2種類のゼリーいずれをも、最初の下顎運動時に歯と歯で粉砕していた。15名は歯と顎堤の間で、10名は上下顎堤の間で、6名は舌と口蓋でゼリーを粉砕。2名は軟らかいゼリーでさえも完全に粉砕できず、ゼリーを粉砕しようとした口腔内の場所は舌と口蓋だあった。加えて、舌と口蓋で粉砕していた者は硬いゼリーを完全には粉砕できず、軟らかいゼリーしか粉砕できなかった。

 追跡捜査として、対象者にゼリーを歯や顎堤でつぶさずに、いきなり舌と口蓋で押しつぶすよう指示したところ、72名中64名が軟らかいゼリーを粉砕でき、さらに23名は硬いゼリーも完全に舌と口蓋とで粉砕できる舌圧のカットオフ値は22.0 kPa であった。従って、もし舌圧測定が可能な要介護高齢者であれば、舌圧値と、今回の「口の中のどこで食品を押しつぶしているか」を確認することで、軟飯・卵焼きレベルの硬さの食品を摂取できるのかどうかを見極める際の一助になる可能性が示された。

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