神奈川県の歯科医師の体験記 ④
続き:
Q. HIV 陽性者の受入れをしていることを、他の患者さんは知っている?
公表しているわけでないので、知らない。
Q. 診療受入れして良かったこと、スタッフの話でも
診療拒否に遭い、遭遇先がない陽性者の従事できること。また陽性者が特別な人でなくステレオタイプで物事を判断しないことの大切なことを知った。MSM はその方の個性(生活)の一部で全人格ではない、HIV に関しては病気を診て人を見ないケースが多い・
Q. 初診の経緯は?
すべて神奈川県歯科医師会HIV歯科診療ネットワークからの紹介、あるいはエイズ診療拠点病院医師からの紹介。それ以外のルートで来院、感染を申告された方はいない。
Q. 現在の HIV 陽性者の頻度はどのくらいですか。
1日 1~2 人、週に 4~5 人
Q. 経皮的暴露時の予防薬の準備についての対応は?また、経皮的暴露あったときの対応は?
神奈川県歯科医師会歯科診療ネットワークの指示で、経皮的暴露時は拠点病院に連絡、そして、予防薬投与を受けるつもりでいます。現在、その実績なし
Q. HIV 陽性者の診療を拒否あるいは特別視している歯科従事者へ伝えたいこと、ご意見など
新型コロナウイルス感染症の拡大を経験している今、標準予防策への理解は否応なしに向上。血液、体液を介した感染対策で十分対応できるHIV 陽性者の歯科治療はそれぞれの歯科医院の感染対策で十分。抗HIV 薬の進歩により死の病から単なる慢性疾患になった HIV 陽性者の口腔健康管理の必要性は、生活習慣病管理とともに QOL 向上にとって欠かせないものとなってきています。またHIV 陽性者の高齢化に伴い訪問診療や介護福祉施設での対応も求められることも想定される。医科や多職種の方々と十分に連携を取り歯科としてできることに対応する必要があります。
感染を自覚していない患者さんもいますし、またU=U (Undetect-able=Untransmittable:ウイルスが治療により検出できない場合、感染リスクのないこと)が提唱されている現在、あえて申告せずに HIV 陽性者が受診する機会も増えるかもしれません。万が一、後から感染を知ることがあっても患者さんを責めることなく(今の日本では申告は極めて勇気のいることのはずです)、その時点で医科と連絡を取り自施設で対応できる処置を実施していただきたいと思います。
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