Clinical 薬剤性口腔乾燥とドライマウス診療 ④
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高齢者の薬剤性口腔乾燥の実態とその対応(後ろ向き研究)のレポートでは、薬剤性口腔乾燥症と診断治療を受け、その治療効果が判明している高齢者(65~85歳・無作為抽出)50名のうち、薬剤性口腔乾燥症と診断された75%が女性で、その1/以上が70~74歳であった。唾液分泌量は、安静時唾液量は1.6ml/15min以上の正常分泌症例が32.0%で最多、0~0.4ml/15minの分泌量の低下が著しい0~0.9g/2minの症例は26.0%。逆にサクソンテスト(刺激時唾液量)は、分泌量低下が著しい0~0.9g/2min の症例が50.0%と最多、2.0g/2min 以上の正常分泌症例は6.0%であった。服用薬の種類については、血圧降下剤の服用者が62.0%で最多、抗不安剤・催眠鎮静剤の服用者は50%。また、消化器官用薬の服用者も多く認められた。
治療法については、唾液分泌促進剤の投与が第1選択とされ、次に唾液腺刺激療法が行なわれていた。第2選択では、口腔保湿剤の投与、3番目は口腔粘膜疾患への対応などが行なわれていた。治療期間は3か月以内が最多、治療結果は著効が34.0%、有効は52.0%、不変は12%で、悪化2%と数字が出ている。
ドライマウスの専門外来の後ろ向き研究からは、高齢者の薬剤性口腔乾燥症の50%以上が抗不安剤・催眠鎮静剤の服用者で、そのほとんどが女性であることが判明、多重ロジスティック解析でも、安静時唾液量の低下には抗不安剤・催眠鎮静剤の服用がドライマウスのリスクファクターとして抽出された。抗不安剤・催眠鎮静剤、特に三環系抗うつ薬には抗コリン作用があるため、その副作用として口渇が強く現れると考察している。
従って、このような患者は降圧剤などの服用者に比べてドライマウスの症状が重篤であるが、薬剤性口腔乾燥症に対しては歯科医師が勝手に原因薬剤を変更したり、中断することは困難なため、対症療法に加えて心身医学的なアプローチを行うことが有用と報告している。
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