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2022年11月29日 (火)

デジタル・デモクラシー――ビッグ・テックとの闘い ③

続き:

   反撃はいつも人々が生きる場から

 「顔認識技術が監視の手段として利用されることで、差別的な取り締まりが助長され、事由で安全な集会が脅かされている。ニューヨーク市警察が、ブラックライブズ・マター(BLM) のデモ隊を監視したのは誤りであり、その証拠を隠したのも誤りです」(監視技術の監視プロジェクト事務局長、アルバート・フォックス・カーン氏)

 2022/07/29、米国ニューヨーク州第一審裁判所で画期的な判決が出た。

 ニューヨーク市警察は長年にわたりBLMをはじめとする黒人・有色人種によるデモの様子を監視カメラやドローンなど最新技術を用いて取得し、捜査に利用してきた。同市警察は、顔認識ソフトウェアの開発・販売企業として躍進したクリアビューAI社から、携帯サイトシュミレーター、歩行認識ソフトウェア、X線バンなど広範囲の監視ツールを購入していることが明らかにになっている。

 監視技術企業と警察権力の「連携」によって、多くの市民が不当な逮捕や勾留、日常的な人権侵害にさらされ、特にその矛先は有色人種の人々に向けられてきた。これに対し、ニューヨークを拠点に活動する市民組織「監視技術の監視プロジェクト」とアムネスティ・インターナショナルは、監視技術の濫用阻止を求める運動を展開してきた。

 2020年9月、両団体はデモ参加者への監視技術の使用に関する記録の情報公開請求(FOIL)をニューヨーク市警察に行ったが、同警察はこれを拒否。FOLK請求の上訴までも拒否したため、2021年、市警察を提訴するに至った。ニュージャージー州第一審判裁判所は、デモの際に使った顔認証技術に関する文書と電子マールの計2700点の開示を市警察に命じた。市民側の勝訴だ。

 「この裁判は、警察の透明性と市民への説明責任を問うもの。市警はこれまで市民の監視方法を明らかにしてこなかった。――民主主義の脅威だ。ニューヨーク市民には、憲法修正第一条の事由に基づいて声を上げる際、どのような監視や取り締まりを受けているかを知る権利がある。今回の判決は、今後、監視技術の濫用に歯止めをかけるという意味でも重要である。(カーン)。

 警察権力による監視への抵抗に加え、米国を始め多くの国で、ビッグ・テックのターゲティング広告(今や「監視広告」と呼ばれる)への批判の声は高まり続けている。米国連邦取引委員会(FTC)も国会議員も本格的な規制強化や立法化に乗り出す。

 2021年8月、米国FTCは「商業的監視とデータセキュリティに関する商用規制・規則」に関するパブリックコメントを開始した。ここには便利で快適とされるデジタル世界の中で日々困惑し、経済的・社会的に不利益を被っている人びとの生の声が続々と届いている。

――その中から抜粋である。

 「20年以上にわたって、シリコンバレーは合法・非合法にかかわらず、米国の消費者に関する大量のデータを収集し、消費者を「グループ化」するための技術を作り上げた。これらのマーケティングのためのもので、企業に数百万ドルで販売されている。

 ADHD(注意欠如・多動性症状)持つ私は、この技術の犠牲になることが多くある。ADHDの消費者が次のような特徴を持つことは広く知られている。

●衝動的な購入

●複数のパスワードの紛失とリセット

●長くて退屈なキー捜査に気を取られやすい

●複数の電子メールを持つ

●サブスクリプションの登録に気づかない

 弱者へのダークパターン(利用者を意図的に騙すデザイン)を使うソフトウェアを開発する大手IT企業や非倫理的な心理学者は、『人々を助ける』と誓いながら、実は認知障害に苦しむ人びとの行動を売り込み、搾取したのです」(RHUBBELL氏)

 「雇用や融資の申し込みから判決、仮釈放の決定まで、あらゆる判断にアルゴリズムが使われている懸念あり。最近では、カルフォルニアの病院がスタンフォード大学の研究者が開発したアルゴリズムを用いて病状悪化の可能性を予測し、患者やその家族に医療を継続するかどうかのアドバイスをしています。アルゴリズムが正確かどうかを評価する対照研究なしに導入することを懸念しっます。何故なら、人々の生活は、見ることも理解することも反論することもできないデータによって、大きく左右されているから。」(Julie Berstein)

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