Clinical 薬剤性口腔乾燥とドライマウス診療 ⑤
続き:
4. ドライマウス診療の実際
1) 衣料面接(問診)のポイント
ドライマウスの医療面接でも開放的な質問から開始するのが基本となる。主訴は必ずしも、「口が渇く」とは限らない。「味がおかしい」、「口がヒリヒリする」などの表現があった場合は、口腔乾燥症に関連する情報としてとらえる必要がある。また、ポイントとして症状が始まった時期の確認は原因につながるので必ず確認しておくいつ用がある。このように、ドライマウス患者への初診時の医療面接では、9点の重要点を確かめながら進めることが肝要だ。
2) 審査・検査
自覚症状や他覚所見について治療前後に評価し数値で示すことは、治療効果の評価と次の治療への指標として重要であるため必ず行う。ポイントとして、検査前にうがいをさせないようにする。これは口渇を主訴とする患者は口が渇いているので、ユニットに座るとすぐにすぐにうがいをしてしまいがちである。また通常の歯科医院では、診察前にまず消毒用の含嗽を患者にお願いしていることもあると思われる。しかし、うがいをすることで口腔内の水分が残ってしまう可能性があるので、正確に検査するにはすぐにうがいをしないで待ってもらうのgs良い。場合によっては、あえてコップを置かないなど工夫し対応する。
関連する具体的な評価項目を以下に示してみる。
(1) 自覚症状(VAS:Visual Analogue Scale を用いて0 ~100mm で評価)
(2) 口腔水分計 (ムーカス、ライフ)
(3) 安静時唾液量(吐唾法)(ml/15分):1.5ml以下で低下
(4) サクソンテスト値(g/2分):2.00g 以下で低下
(5) ガムテスト(ml/10分):10ml 以下で低下
(6) 反復唾液嚥下テスト(RSST)(回/30秒):3回以上で正常
(7) カンジダ検査:口腔乾燥に合併しやすいため、鏡検、培養で確認
(8) 血液検査:抗 SS-A 抗体、抗 SS-B 抗体(シェーングレン症候群の精査)
以上の項目を必要に応じて診査・検査する。反復唾液嚥下テストは嚥下機能の検査であるが、唾液分泌量との相関関係があるため参考になる。
3) 診断
ドライマウスの分類に従って診断するが、臨床では自覚的あるいは他覚的口腔乾燥症状があって、検査ではガムテストで10分間に10ml以下、サクソンテストで2分間に2.00g 以下、安静時唾液量で15分間に1.5ml以下、口腔水分計(ムーカス)で27.0以下、そして施設によって唾液腺シンティグラフィーで唾液腺機能低下があれば口腔乾燥症と診断することができる。
4) 治療
(1) ドライマウス初期治療から開始する
初診時から次回の来院までに、検査だけで何も治療しないのは、患者によって不満足である。そのため、唾液腺マッサージ、含嗽(消炎効果のあるアズレン系)、口腔保湿剤による「ドライマウス初期治療」が効果的である。これは①患者に導入し易い、②どの医療機関でも簡単に行える、③安全④次回までにある程度効果効果がある、⑤治療効果から次の治療への判断となる、などの利点だ。
通常10日前後で口腔粘膜のターンオーバーが行なわれるので、その時期に自覚症状や唾液分泌量の再評価をして効果判定する。
(2) 漢方薬によるドライマウス治療
ドライマウス初期治療により、ある程度の効果は得られることもあるがさらなる効果が期待できる治療として漢方薬がある。平成30年4月1日の薬価基準から歯科関係薬剤点数表に、これまで7種類から11種類の漢方薬が掲載されている。そのうち白虎加人参湯と五苓散に口渇の適応がある。当外来では漢方薬治療として、白虎加人参湯の錠剤による治療を行って一定の効果があることを報告している。
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