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2022年12月20日 (火)

Science 認知症と口腔機能 ⑦

続き:

3) メカニズムの解明に向けて(動物実験より)

 動物実験は、症例報告や疫学調査の現象を細胞レベルで観察できるため、そのメカニズムを立証するのに有益な研究である。口腔機能と認知機能の関連を調べた動物実験はこれまで数多く報告あり・多くは、咀嚼不全ラット(軟食飼育・臼歯部の削合や咬合干渉の付与)を作製して、海馬を中心に脳内細胞レベルの変化と行動解析より評価している。

 海馬は、記憶や空間学習能力を司る器官で、アルツハイマー病においては最初の病変部位としても知られている。咀嚼不全動物の海馬では、歯状回(DG)において顆粒細胞の神経新生が抑制、CA1やCA3の領域では、錐体細胞数やスパイン数が減少し、アストログリアは反対に増加している。また、脳由来神経神経栄養因子(BDNF) の低下や炎症やアポトーシスに関連するフリーラジカルの増加も観察されている。

 さらに、情報伝達の役割を担っているアセチルコリンやドーパミンなどの神経伝達物質の遊離量も低下していることが分かっている。特に、認知機能と関係深いアセチルコリンと咀嚼機能が関係していることは大変に興味深い結果である。

 さらに、脳内のネガティブな現象が認知機能にリンクしているかを検証するために、マウスの行動解析も行なわれている。モリス水迷路や放射状迷路学習の解析から空間記憶や作業記憶の低下を引き起こしていることが報告されている。

 また、オブジェクト認識テストや受動的回避学習により学習記憶や注意力の低下も確認されている。

 このように正常な咀嚼を営めない咀嚼不全動物では、海馬において細胞の形態的・機能的障害を引き起こし、それに伴い認知機能も低下も明らかだ。

 詳細なメカニズムの解明に至っていないが、動物実験からは口腔機能と認知機能の関連性が強く支持されている。

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