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2022年12月 9日 (金)

人間と科学 第341回 永久不変の存在を求めて(2) ②

続き:

 19世紀のハイテクの限界

 BBCの予告映像はご覧いただけただろうか。19.cのハイテク (当時最新の冶金技術や精密加工技術)を駆使して作成された長さや質量の基準(国際原器)は、永久不変の基準となることを期してパリの国際機関に保管された。先の映像によれば、第二次世界大戦でナチスがパリに侵攻したときも、その施設には立ち入らなかったとされる。

 国際社会の理解のもとで維持されてきたこれらの原器は、その期待通り永久不変の基準の役割を果たしてきただろうか。

 残念ながら、人間の作るものに完璧はない。特に長さの基準、メートル原器は早々にその限界を露呈した。メートル原器の概要だが、剛性を維持するために断面を X 字型に加工したレール状の金属に、1 メートルを示すケガキ線が刻まれている。

 材料は白金イリジウム合金で、大変硬く錆も発生しない。しかし、物体である以上、その長さは温度による膨張収縮を免れない。仮に物体としてのメートル原器が不変であっても、肝心の長さが環境によって変化してしまう。そこで 1 メートルとは、メートル原器が水の凝固点で指し示す長さ、と定めた。

 エアコンもない当時、一定の温度は凝固点のような物質の状態で維持するしかなかったのである。

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