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2022年12月 2日 (金)

デジタル・デモクラシー――ビッグ・テックとの闘い ⑤

続き:

   規制と集団行動による監視資本主義の

 ヨーロッパでは、2010年代以降、デジタル分野での包括的なルール形成が大きく進んだ。欧州一般データ保護規制(GDPR)や倫理的なAI規制、そして2022年4月に合意に達したデジタルサービス法(DSA)/・デジタル市場法(DMA)の策定。

 デジタルサービス法は、大手プラットフォーム企業に対してアルゴリズムの透明性向上を求めるほか、違法とみなされるコンテンツや製品の削除機能の強化、そして人種や性的指向、所属政党などのセンシティブな情報に基づく広告表示の制限の義務付け。また、ダークパターンや子どもを対象にした広告も禁止。この規制を遵守しない場合、最大で世界売上高の6%の罰金が科される可能性あり。つまりは、個々の規制に留まらない包括的なルールだ、ビッグ・テックへの最大級のカウンターとなる。デジタルサービス法が国際的な基準なら、デジタル分野における国家と企業、そして市民社会の関係性が大きく変わるのは間違いないのだ。

 しかし、法規制などのルールだけで監視資本主義の根本的変革ができないのか。ディヴィッド・ライアン教授が指摘の通り、監視資本主義と密接な「監視文化」は、私たち一人ひとりが担い手となり日々営まれている。デジタルサービス法にしても、欧州機関という「強大な権力機構が執行権限を有するという点で、民主主義がどこまで運用をコントロールをできるのかという課題がある。ビッグ・テックのロビイストたちは同法を何とか骨抜きにしようと欧州機関の官僚や議員に働きかけ続けている。

 デジタルサービス法が合意された2022年4月,ショシャナ・ズボフ教授はその意義を称賛し、策定に取り組んできた欧州議員や欧州委員に最大級の言葉をもって敬意を表した。その上で、語っている。

 「これまで私たちは、あまりに、自己満足し、あまりにも無関心で、民主主義の制度を当然のものと考え、その脆弱性と脅威を理解していませんでした。私たちは闘わず、未来の傍観者になることを許してきた名です。しかし、この流れは変わった。今日、私は、民主的秩序がこの争いに勝利すると、かってないほど楽観的だ。全ての道はいまや『政治』に通じています。つまり、『集団行動』と『立法』。この3年間、民主主義の復活が顕著であり、かってない大きな変化を越しています」

 教授は、立法や規制に向かう前段階に生まれる集団行動の必要性を強調する。実際、多くの国でそれは無数に起こっていることだ。その具体的なケースを紹介しています。しかし、それらに共通する原動力は、デジタルの世界に『公正』と『倫理』、『社会正義』を求める力。

 米国での顔認識技術禁止条例を求める運動は、単なるプライバシー保護ではなく、有色人種へのすざまじい差別への怒りが背景にある。Amazon 倉庫で働く労働者たちの組織結成は、コロナ禍で使い捨てのように扱われたエッセンシャル・ワーカーたちによる正当な要求だ。途上国では今、農業分野でのデジタル化がもたらされ、さらにビッグ・テックは途上国にある希少金属資源の争奪戦を繰り広げている。グローバル・サウスの運動体はおれを「新たな植民地支配だ」と告発する。中国やブラジルなど強権的な政権の国では、労働者や市民たちは権力の目をかいくぐりながら連携と抵抗を進めている。

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