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2022年12月 7日 (水)

人間と科学 第341回 永久不変の存在を求めて(2) ①

続き:

臼田 孝(国立研究開発法人産業技術総合研究所執行役員・計量標準総合センター長)さんの小論文を掲載する コピーペー:

原資に刻まれたものさし

測定手段と測定対象

 ルネッサンス末期の天才、ガリレオ・ガリレイの業績の一つに、振り子の等時性発見が挙げられる。ガリレオは協会の天井から吊るされた燭台の揺れる様から、振り子の周期は振幅依存せず一定で、振り子の長さで決まることを見出した。その際、振り子の周期は脈拍で測ったと伝えられている。この発見がその後のあらゆる時計の発明と進歩に関わっている。(たとえば機械式時計は位置と運動のエネルギー交換により、電気式時計は電気と運動のエネルギー交換により、さらに原子時計は電子の軌道と電磁波のエネルギー交換によって等時性が保たれた、いずれもいわば振り子である。)

 ガリレオの当時、脈拍は時間の測定手段だったが、ひとたび振り子の等時性が確認されると、脈拍に代わって振り子を測定の基準とする技術が生まれ、測定手段と測定対象は入れ替わった。

 人類はこのように、それまでの測る基準をもとに新たな法則やテクノロジーを見出し、より不変な存在にバトンタッチするようにして基準を得てきたのである。こうして 19 c. 末に人類が手にした基準が、金属製の分銅(国際キログラム原器)と、ものさし(国際メートル原器)であったことを前報告で紹介した。

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