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2022年12月27日 (火)

Science 認知症と口腔機能 ⑩

続き:

◆ ECCO (エコ)プロジェクトの立ち上げ

 このような状況を踏まえて、2020年より、認知症を積極的に診察している集団である「日本老年精神医学会」と口腔機能の治療や研究に従事する「日本補綴歯科学会」・「日本老年歯科医学会」・「認知症と口腔機能研究会」が医科歯科連携し、認知機能と口腔機能の低下による機能障害や歯周病などの口腔疾患との相関に関する探索的研究プロジェクト(Medical-Dental collaboration: Exploratory research project on the Correlation between Cognitive and Oral function : ECCO)、通称「ECCO プロジェクト」が新たにスタートした。

 このプロジェクトは、歯科にとっては「口腔機能と健康の関連」を医科の専門医に認識してもらう絶好の機会であり、お互いに共通の問題点を共有できるそのメリットは大きい。

 本プロジェクトの課題は2つ。1つは、医科歯科双方向アンケートの実施で、口腔環境と認知機能との関わりについて、医師・歯科医師の相互理解と今後の連携研究のリサーチクエスチョン共創のための情報共有。2つ目は、口腔リスク因子探索の探索の観察研究。アンケート調査で得られたリサーチクエスチョンを基に、横断(ケースコントロール)研究とこれに続く縦断研究により、口腔関連因子/口腔リスク因子を同定することを最終目標としている。

 コロナ禍により、進捗が当初の予定よりも遅れているものの、現在は、認知症専門医263名・歯科医師844名から回答していただき、1つ目のアンケート調査が終了している(実施期間:2021年11月~2022年1月)。なかでも興味深いのは、医科歯科連携の必要性に関して「大いに/少しある」と回答は医師 92% 歯科医師 93%で、どちらも必要性を感じている。一方、認知症患者の生活支援に関して、医師あるいは歯科医師主治医に情報を求めた経験は、医師78%、歯科医師79%が「ほとんど/まったくない」と回答で、実際の臨床現場では連携の機会が少ないなど、明らかになって、今後の課題も浮き彫りになっている。

 いずれにせよ、双方向のアンケートの調査結果は、今後の認知症患者の診療や研究を進めてゆく上での道しるべになると考えている。

 アンケートの詳細内容はすでにいくつかの関連学会で報告していて論文として投稿予定であって、参考にしてください。

おわりに

 認知症あるいは認知機能は、これまでの研究レビューから、口腔機能との関連性については、支持する報告が多いものの、「口腔機能が認知症の危険因子」であるとの結論にはいまだ至っていない、その根底にあるメカニズムについても解明なし。現状はこうである。今後新たなるエビデンスを創り出していくには、医科歯科連携の治療・研究体制の構築とさらなる包括的な調査・研究を展開し、チームとして認知症患者600万人時代に当たる必要性があり、超高齢社会の先進国であるわが国の重要な役割であると考える。

 

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