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2022年12月26日 (月)

Science 認知症と口腔機能 ⑨

続き:

4. 医科歯科連携による認知症への新たなる取り組み:認知症専門医との情報共有

 

 認知症施策推進総合戦略「新オレンジプラン」の柱の一つである「認知症の容態に応じた適時・適切な医療・介護等の提供」の中で、歯科医師の積極的な参加と医師との連携が求められている。これまで以上に医師・歯科医師は職業の垣根を越えて、チームとして認知症患者600万人時代に当たらなければならぬ。今後、医師と連携して認知症患者の歯科治療や研究をさらに進めていく上でいくつかの改善点も指摘されている。

 その 1 つは、用語の整理だ。依然として、「物忘れ(認知機能障害)=認知症=アルツハイマー病」と認識している向きも多い。ようである。認知症とは、MMSE:23点以下かつ HDS-R : 20点以下かつ、CDR (臨床的認知症尺度)1点以上かつ、携帯画像や機能画像、その他の生物学的指標により、大脳の機能障害が直接的原因となり社会生活に支障をきたした事態のことであり、物忘れ症状のない認知症も存在する。

 あくまでも認知症は、病態を示す用語であって、認知症という疾患があるわけでない。また、認知症の原因疾患も様々で、代表的な神経変性疾患や脳血管障害をはじめとして、その他の原因疾患として、内分泌・代謝性中毒性疾患・感染性疾患・腫瘍性疾患・外傷性疾患・自己免疫疾患・炎症性疾患など我々が想像する以上に多くの疾患が関与している。

 現在、わが国ではアルツハイマー病、レビー小体病、脳血管障害、前頭側頭葉変性症を原因としたそれぞれの認知症型が罹患率の高い 4 大認知症と呼ばれる、それぞれ脳内の病態やそれに伴う臨床症状は大きく異なる。つまり、これまで通り認知症という病態を一つの疾患単位として捉えて口腔環境(こうくうきのうやししゅうそしきのじょうたいなど)の関連性を検討しようとしても、高いエビデンスを得ることは難しい。

 もう1つは、臨床における問題点の共有。2019年5月に日本補綴学会第128回学術大会において認知症専門医と補綴専門医との合同シンポジウムが開催された。その中で我々補綴専門医は、これまで認知症患者に対して主に学習・記憶機能に着目、その維持・安定を求めて議論を展開していたが、これは数多くある認知機能の一つに過ぎず、認知症専門医からは全般性注意や遂行機能の重要性も指摘され臨床現場における問題意識の乖離も浮き彫りになった。このシンポジウムを通して歯科医師は、医師との共通言語を持ち合わせ、認知症の治療現場における問題点を共有することが、認知症に携わる歯科医師に求められている態度であると理解された。

 

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