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2022年12月17日 (土)

認知症と口腔機能 ⑤

続き:

3. 認知症と口腔機能に関連する報告

1) 症例報告

 はじめに、本学附属病院医科歯科連携センターの認知症・高齢者総合内科で補綴治療を行った一症例を紹介する。これは、レビー小体病に伴う軽度認知機能障害と義歯不適合診断された無歯顎患者に対し、全部床義歯をセットし口腔機能と認知機能の変化を経時的に観察した。

 口腔機能は、グル子センサー GS-Ⅱ(ジーシー)を用いて咀嚼能率を計測し、認知機能に関しては、非認知症とレベルを、①軽度認知機能障害を評価するJapanese version of the Montreal Connitive Assessment(MoCA-J)、②認知症をスクリーニイングする評価尺度である Mini-mental state examination (MMSE)、③改訂 長谷川式認知症スケール(HDS-R)、④社会機能を評価する Lawton -Instrumental Activity of Daily Living(Lawton-IADL) を用いて多層的に評価した。

 経過は、上下顎に新規の全部床義歯をセットすることで咀嚼機能は安定し、18か月の経過観察においても認知機能は軽度認知機能障害レベル内に留まり、認知症への移行は認めなかった。対面では、食事も上手に召し上がっているようで、IADL も安定していることからも、健康的な生活が感じられる。

 本症例をもって、補綴治療による虚空機能の介入が、認知機能障害の進行および発症に対する先制的予防介入の可能性を論じることは、多くの要因を含んでいるために困難であるが、日々の診療でこのような症例を程度の差はあるにせよ、体験または実感した臨床医師は少なくないのではなかろうか。

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