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2023年1月13日 (金)

人間と科学 第342回 永久不変の存在を求めて(3) ①

臼田 孝(国立研究開発法人産業技術総合研究所執行役員・計量標準総合センター長)さんの小論。コピーペー:

宇宙をあやつる数式

 前報まで長さや質量の基準をどう作ってきたか、20c.までの歩みを振り返った。人類は決して変わらぬ基準を、測る技術と一体で追い求めてきた。その一方で、物質は決まった温度で溶けたり蒸発したりする。また電気刺激などを受けて決まった色の光を発することが判ってきた。それどころかはるか太古から、太陽や月や星座は規則正しく動いている。人間が変わらぬ基準を作るまでもなく、この宇宙は変わらぬ何かでしはいされているかのようである。

 17c.にニュートンは、月が一定の周期で地球を回るのも、リンゴが木から落ちるのも、同じ「万有引力の法則」に従った結果である。と看破した。物質が種類によって決まった性質をもつのも、物質を構成する原子とその内部構造を規定する法則に基づくことが、20c.1に入り判ってきた。

 この宇宙は、ミクロの世界の原子から広大な宇宙に浮かぶ星々迄、ある一定の法則、つまあり数式に従っているのである。

宇宙を支配する定数

 しかし、その法則が一定であるだけで宇宙の秩序が保たれるわけではない。数式に含まれるいくつかの係数(物理定数)が一定でなければ、結果が異なってしまう。たとえば万有引力の法則では、その数式に現れる係数、すなわち万有引力定数が変化したら、月の月齢周期も、季節ごとの星座の位置もことごとく変化してしまう。

 また原子の振る舞いを規定する物理定数が変化したら、原子は一定の性質を示すどころか、たちまち放射線を発して崩壊し、その存在すら不安定になるかもしれない。この宇宙を今ある姿に規定しているのは、まさに物理定数が一定だからなのである。

 ここで後残り4回にわたって説明する物理定数に登場するのは、光速、プランク定数、電気素量、そして万有引力定数だ。

 今回はこれらのうち、宇宙の制限速度たる、光速について説明する。

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