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2023年1月16日 (月)

人間と科学 第342回 永久不変の存在を求めて(3) ④

続き:

光速を測る

 「速さ」の単位はメートル毎秒、長さと時間を測る必要がある。どちらが不十分でも、正しい速さは得られない。ここで前報で長さの単位であるメートルが、1960年にクリプトン原子から放射される光の波長で定義されたことを思い出してほしい。

 もともとのメートルの基準「国際メートル原器」は、長さの基準として熱膨張などの本質的な問題をはらんでいた。そこでメートル原器との比較によりクリプトンランプからの光波長の165万763.73倍を1メートル、と決めたのが1960年。

 この時点で8桁まで細かくなっているが、実際の測定では工夫して9桁可能となっていた。つまり速さを決める一方の情報、長さは9桁の正確さで測定するのが限界だったのだ。

 他方の時間は、当時出現した原子時計によりはるかに高い精度で測定可能になっていたので、実験室環境でも光速レブルの現象を測定できるようになっていた。ただし、どんなに時間を正確に測っても、長さの正確さの限界が9桁目であるなら、速さの正確さもそれ以上正しくなることはあり得ない。

 そこで各国の研究機関が様々な方法で光速を評価し、その評価結果が9桁目でほぼ一致した1973年、科学界は光速を定義値、秒速299,792,458メートルとして決定したのだ。

長さの定義へ

 光速が決まったのなら、長さの定義も光速と時間から導ける。そこで1983年、メートルの定義は「1メートルは1秒の299,792,458分の1の時間に真空中を光が進む距離」と書き換えられた。

 この定義に忠実に、長大な距離から微小な距離まで測定する様々な技術が実現している。例えば月と地球との距離は、アポロ月着陸船が月面に置いてきた鏡に光を当てて、反射して地球に戻ってくるまでの時間から、センチメートルレベルで正確な測定されている。

 また光の干渉によって微小なナノテクノロジーが実現されている。

 人類はこうして得た未来永劫不変の長さの基準をもって、この後の物理定数を解き明かしていくんである。

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