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2023年1月20日 (金)

Science 歯周病と認知症 ④

続き:

2) 歯数と認知機能

 歯周病は永久歯を失う最大の要因であり、その割合は35歳以降で年齢と共に高くなり、60歳以降はほぼいっていである。抜歯処置を受けた患者の基礎疾患で、歯周病と双方向と関連する糖尿病では、歯周病が原因で抜歯に至った割合が55%と、他の疾患と比較して最も高い割合を示すことも報告されている。

 歯数と認知症の発症リスクとの関連を検討した研究で60歳以上の日本人一般住民を対象とした研究で、残存歯数が少ないほど認知症の発症リスクが高くなるとという有意な負の関連が認められた報告をしている。また、健康な65歳以上の高齢者を4年間追跡した調査では、20歳以上の者と比較して、歯がほとんどなく、義歯未使用の者は1.85倍、なんでも嚙める者と比べて、あまり嚙めない者とは1.25倍、認知症発症のリスクが高かったことも示されている。この研究では、歯がほとんどなく義歯使用の場合、20歯以上の者と比較した認知症発症リスクが1.09倍であることから、歯数が少なくても義歯使用することで、認知症発症リスクが低くなる可能性も示唆された。

 レセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB) を用いた研究においても、アルツハイマー型認知症と歯数の関連が報告されている。現在歯数を1~9歯、10~19歯、20~32歯の3群に分け、性別と年齢を調整したロジスティック回帰分析の結果、20~28歯の者を基準として性・年齢調整オッズ比は1.11(95%信頼区間1.10-1.13),1~9歯では1.34(05%信頼区間1.32-1.37) と有意に高かった。また、この研究では、喪失歯数を1~14歯、15~27歯、28~32歯の3群に分け、1~13歯の者を基準とした場合について、喪失歯14~27歯でオッズ比は1.40(95%信頼区間1.36-1.44)、喪失歯28歯では1.81(95%信頼区間1.74-1.89)であったことも報告している。

 この結果から、現在歯数が少なく欠損歯多い者ほどアルツハイマー型認知症の有病率が高いことが明らかにされた。また、この研究では、80歳以上の歯科医療機関受診者の6~16%がアルツハイマー型認知症診断されており、歯科受診している認知症高齢者が少なくない実態も明らかにされている。

 臼歯を抜歯したマウスと非抜歯のマウスの比較研究では、抜歯した群で有意に認知機能が低下したと報告され、そのメカニズムとして海馬神経細胞の減少が考えられている。また、粉末餌、ソフトダイエット(液状餌)によって咀嚼機能低下を惹起させたマウスでも認知機能障害の誘導が示されている。

 また、喪失歯による咀嚼機能の低下は栄養状態の悪化を招く。認知症高齢者では、低栄養状態が問題となって、世界8カ国の認知機能障害のある高齢者を対象とした研究で、認知症の重症度が高いほど10ポンド(4.5kg)以上の体重減少の頻度が高かったことの報告もあった。

 また、食事の観察の失認、傾眠、拒食、徘徊、異食などの11項目の微候を評価する「認知症高齢患者の食事中の微候・症状・:Signs and Symptoms Accompanying Dementia while Eating (SSADE)」があり、これにより評価された失認、傾眠、拒食、徘徊、異食などの微候が低栄養状態と関連することが報告されている。

 これらのことから、歯の喪失による咀嚼機能の低下は、認知機能の低下の要因となることが考えられる。

 

 

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