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2023年1月19日 (木)

Science 歯周病と認知症 ③

続き:

2. 認知症と歯科・口腔状態

 認知症患者の口腔内は、口腔清掃状態が不漁で有って、う蝕や歯周病の有病率が高く、喪失歯数が多いことが報告されている。これは、認知機能が低下し、口腔清掃が困難となり、結果として口腔疾患に罹患し、歯の喪失に至ると考えられる。通院中の患者においても、認知機能の低下から口腔清掃状態が不良となり、抜歯せざるを得ない状況に置かれることも少なくない。

 かかりつけ歯科医では、「表現のまとまらない口腔の不調を繰り返す」、「予約時間を間違える」、「整容が不十分である」など診療中や受付などで、いままでと違うと感じる場合には認知機能の低下を疑う必要がある。われわれも、急性症状を有する連絡を受け来院予約をしたにもかかわらず来院しなかった症例や、症状を認めるが、来院した際は、電話の内容と異なるなど、認知機能の低下を疑う機会も少なくない。

 一方、近年では、口腔内の状態が認知機能の低下や、認知症の発症に関連するという報告もされるようになってきている。

1) 歯周病と認知機能

 歯周病の臨床パラメータと認知症の関連では、プロービングデブス。プロービング期の出血(BOP)、クリニカルアタッチメントレベルなどとの間に有意な相関関係があることが報告されている。その他にも、歯周病患者は、健常人と比較し、アルツハイマー病の発症リスクが1.7倍高いことや、認知機能の低下が早いことも報告がある。

 われわれは、認知症専門病院の関連施設に入所中の軽度認知機能障害(MCI)患者を対象とし、歯周病と認知機能の関連について調査した。 MCI は①以前と比較して認知機能の低下があり、これは本人、情報提供者、熟練した臨床医のいずれかにより指摘される、②記憶、遂行、注意、言語、視空間認知のうち1つ以上の認知機能領域における障害がある、③日常生活は自立している、④認知症ではない、と定義される。

 MCI から認知症への移行はおよそ5~15%/年、認知機能が健常へ戻る率はおよそ16~41%/年と考えられる。

 その結果、4mm以上 Probing Depth(PD)占有率、BOP率、 O'Leary のプラークコントロールレコードで、認知機能(改訂長谷川式簡易知能評価スケール:HDS-R)と相関を認め、現在歯数は多いが、認知機能の低下とともに、口腔清掃状態は不良となり、歯周ポケットも多く認められることを明らかした。

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