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2023年2月17日 (金)

Clinical 正確で効率的な歯科総合診断 ⑤

続き:

4. 仮説演繹法の限界

 前項にて、パターン認識法の弱点について移載したが、ではケアレスミスを誘うパターン認識法はやめてすべて仮説演繹法で診断すべきか、というと、そう単純な話でもない。何故なら、仮説演繹法にも限界が有り。

 先述したように、仮説演繹法では当初診断をひとつに絞ることなく、可能性のある疾患を鑑別診断リストとして設定するところから始まる。では、一度に想起し検証できる診断名の数はどのくらいであろうが。

 1950年代の研究に心理学者 Miller の、人間が一度に保持して比較処理できる項目数は 7± 2 としたものがあるが、その後、実際はもっと少ないのではないかという議論もされている。最近では脳科学者の Cowan が、脳が一度に処理可能な項目数について、せいぜい 4 ぐれいではないかと報告あり。

 歯科で最も多い主訴は「痛み」であるが、痛みを訴える口腔領域の疾患は、10 は 下がらないであろう。つまり、歯科に限定しても、すべての可能性を網羅した診断リストをもとに臨床推論を行うことは、脳の機能の限界を超えることになる。

 それでは、歯科よりももっと広い範囲で診断を行う範囲で診断を行う内科医などは、どのように診断リストを作成しているのだろうか。

 野口は著書の中で、内科総合診断医が診断リストの候補をひらめく思考過程が 1 的であることを指摘する。―――仮説演繹法においても、診断リストの想起はパターン認識法と同じ直感システム 1 を使わざるを得ないのだ。

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