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2023年2月14日 (火)

Clinical 正確で効率的な歯科総合診断 ②

2. パターン認識法と仮説演繹法

 行動経済学でノーベル賞を受賞した Kahneman は二重過程理論を提唱し、その中で、人間の思考方式には直感(システム1)と推論(システム2)の2種類があるしている。臨床家の臨床推論もこのシステム1とシステム2を用いて行われ、それぞれがパターン認識法と仮説演繹法とに対応させ論じられることが多い。

 例えば、試験対策として「頬粘膜、両側性、レース様白色病変、接触痛などのキーワードの組み合わせ扁平苔癬」などと覚えた経験はないだろうか。この様な所見パターンを症状に当てはめるやり方が、システム1のパターン認識法による診断である。スナップ診断という別名が示すように結論に至るまでのスピードが瞬間的で、救急外来など迅速に方針決定しなければならない現場では大変重宝される。

 また、精神科医の齋藤環は、精神科医師が顔の表情から統合失調症やうう病などの診断が可能であることについてふれ、言語化できない「雰囲気」的な情報診断するのにスナップ診断が有効だとしている。

 その一方で、スナップ診断は経験がものを言う名人芸と考えられている。つまり、経験の浅いものがパターン認識法を行うと誤診のリスクが高くなる。そのため、臨床初学者たる歯科学生、研修歯科医師が症例発表などでトレー二ングされるのはシステム2による仮説演繹法である。

 仮説演繹法では医療面接や診察から得られた情報から想定される診断が列挙された鑑別診断リストをまず設定。X線等、情報が追加されるたびに繰り返しリスト中の疾患が比較吟味され、該当しない診断が消去される。この消去法で絞り込まれるプロセスhq時間がかかるが、仮説演繹法による診断の正確度パターン認識法より高い。

 以上、2つの思考過程対応と対応する診断法について述べたが、現実に目を向けると、、歯科医師は診断に際し、直感と推論を特別意識して使い分けることはしていないのでないか、という印象がある。処置中心となる歯科臨床のルーティンにおいて、診断にかける時間は少ない。ほとんどの場合、意識されることなく瞬時に判断が可能なパターン認識法には、を採用していると推測。

 しかし、パターン認識法いは、直感的、経験ベースであるが故に、弱点が有り。次に、その弱点が露呈した実例を示す。

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