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2023年2月19日 (日)

Clinical 正確で効率的な歯科総合診断 ⑦

続き:

 この AI の「フレーム問題」から示唆されるのは、久保のいう物語的思考が、診断におけるシステム 1 思考に相当するのではないかということである。物語=経験と考えると、経験豊かなベテランが診断リスト等思考の参照枠の設定を迅速に、そしてより正確に想起できることと整合性がつく。さらに、後で述べるように、物語的思考が区別する思考ではなく、つなげる思考であることも、直感ベースのシステム 1との整合性がとれる。

 冒頭で述べたように、現状の歯科医学教育カリキュラムでは専門分野ごとに診断の知識体系が教育されるため、分野横断的な診断を行おうとすると診断参照枠を都度変更する必要がある。この参照枠の選択・変更がフリーズせずにスムーズに行われ、歯科総合診断を可能にしているのは、システム 1=物語的思考によるところが大きいと考える。

 以上の考察より礪波が強調したいのは、歯科総合診断の診断プロセスは、「システム 1パターン認識法か、システム 2 仮説演繹法か」という単純な 2択ではないということである。いずれの診断法をとるにしても、迅速だが正確さに劣るシステム 1思考が介在している。しかもシステム 1は、参照枠の自律的な設定という AIには真似できない、人間ならではの能力に関係していて決して排除えきるものではない。

 むしろ、、それぞれの診断プロセスにおいて、システム 1をいかに活用するかに、正確で効率的な歯科総合診断を行うコツがあるかではないか。

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