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2023年3月19日 (日)

デジタル人民元その狙いとは? ③

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 そして、インターネットにつながらない場所でも使えるオフライン対応も、どんな場所でも使えるおいう兌換性を高める要件になる。端末内に取引記録を保存しておき、通信環境が回復した後に同期する技術が使われている。ただし、詐欺などの問題がおきないようにあくまで少額決済に限定されているという。インターネット環境が整っていない辺境での利用が想定されているほか、災害や通信障害時の備えともなる。

 2021年7月、河南省を洪水が襲い、3000万人が被災する惨事となった。省都も洪水で通信途絶、モバイル決済が一切使えなかった。キャッシュレスに慣れ現金を持ち歩く習慣がなかった人々は大いに難儀し、通信復旧後に支払うからとツケで食料品を購入したのも多かった。

 もう一つ、重要な要素となるのが匿名性だ。中国人民銀行の易綱総裁は2022年10月,香港フィンテック・ウイークで講演したが、「プライバシー保護こそデジタル人民元でもっとも重視すべき問題の一つだ」と強調。具体的な取り組みとしては、「二層構造」と「コントローラブルな匿名性」の二点だ。

 デジタル人民元の大きな特徴として、中央銀行が商業銀行にデジタル人民元を供与する第一層、商業銀行が一般市民向けにサービスを提供する第二層とに分ける二層構造が採用されている点にある。金融機関を越えて資金を自由に移動できる統一的な運用を実現するとともに、商業銀行ごとに異なるプロダクトを開発して競争するという市場原理との双方を実現することが目的。加えて、第一層の中央銀行は金融機関間の資金決済処理に専念、個人情報を取得しないため、匿名性の確保にも。中央銀行が国民すべての取引記録を一元的に管理することはない。

 もう一つ、「コントローラブルな匿名性」も興味深い。一般利用者には匿名性を守るための選択肢が与えられている。デジタル人民元のウォレットは1類から4類という4種に区別される。4類では携帯電話番号だけであれば開設。誰が開設したウォレットかはわからないため、匿名性が確保できるという。ただし、携帯電話番号と紐付けられている以上、完全な匿名性が守られているかについては疑問が残る。

 この4類ウォレットにチャージできる金額は1万元(約20万円)まで、1回の支払い額は2000元(約4万円)まで、年間の利用額は5万元(約100万円)までと制限されている。

 1~3類は制限緩和がある一方で、身分証や銀行口座との紐付けが条件となり匿名性が失われる。最上級の1類では決済額は無制限となるが、ウォレットを発行する銀行での対面による開設手続きが義務づけられる。

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