« デジタル人民元その狙いとは? ⑥ | トップページ | 人間と科学 第345回 永久不変の存在を求めて(6) ② »

2023年3月25日 (土)

人間と科学 第345回 永久不変の存在を求めて(6) ①

臼田 孝(国立研究開発法人産業技術総合研究所執行役員・計量標準総合センター長)さんの小論文を載せる :コピーペー:

 科学技術の発展にともない、人類が理解する宇宙像も変貌をとげている。現在では、宇宙はおよそ138億年前に起こったビッグバンを基点に生まれ、膨張してきたと考えられている。そして、その膨張は今この時点も続いている。

 このシリーズで何度か、物理定数が不変だから宇宙や物質が今の姿を維持している、と述べた。しかしその宇宙は今日も進化しているのである・進化する宇宙にあって、物理定数は不変なのだろうか。宇宙の進化と物理定数をめぐる話題を紹介する。

■進化する宇宙

 今から100年ほど前までは、星々は動いても、宇宙全体は一定の状態を保っていると考えられていた。即ち、宇宙には始まりもなければ終りもないとされていたのである。ところが、1929年にアメリカの天文学者、エドウイン・ハッブルが遠くの銀河が遠ざかっている事実を発見する。宇宙は一定ではなく、膨張していたのである。宇宙が膨張しているなら、それを逆にたどれば、やがてどこか一点に集まることになる。

 即ち、「宇宙の始まり」が存在したのである。ビッグバン理論として知られるとおり、138億年前、宇宙はきわめて高温で高密度の火の玉のような状態から、急激に膨張したと考えられている。その超高温状態の「残り火」ともいえる熱放射に相当する電磁波(宇宙背景放射)が実際に観測でき、ビッグバンの証拠とされている。

 宇宙が膨張するとともに、エネルギー以外には何もなかった高温の状態から陽子や中性子が誕生し、やがて宇宙が冷えるにしたがって原子核に電子が引きつけられ、水素やヘリウム等の元素が生まれた。そうして形成された物質同士の引力でガスが集まり、自ら熱を発して光を出す星が誕生した。星の内部では、温度上昇によるエネルギーで「核融合」を生じ、様々な物質が生まれた。

 核融合が生じるような巨大な星はやがて自らの重力に耐え切れず、「超新星爆発」とよばれる大爆発を起こす。爆発のエネルギーでさらに様々な物質が生成され、宇宙にばら撒かれた物質が離散集合を繰り返してふたたび星々を生み出し、現在、我々が知っている宇宙の形になったと考えられている。

 宇宙は、その姿や存在する物質が変化しながら、進化してきたのである。

 

« デジタル人民元その狙いとは? ⑥ | トップページ | 人間と科学 第345回 永久不変の存在を求めて(6) ② »

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事