人間と科学 第345回 永久不変の存在を求めて(6) ③
続き:
■進化を続ける宇宙
宇宙に「始まり」があるなら「終わり」はあるだろうか。宇宙の膨張が、ビッグバンという爆発のエネルギーによるならば、投げ上げたボールがやがて落ちてくるように、いつかは宇宙全体の引力で引き寄せられて収縮に転じるかもしれない。ところが、最近の観測によれば、膨張は収まるどころかその速度を増していることが判明している。
遠方の星の速度を正確に測れるようになったなった結果、速度が増加していることが分かったのである。宇宙は膨張を続けているから、その密度は徐々に薄まっているはずである。にもかかわらず加速膨張できるということは、どこからか未知のエネルギーが湧き出していると考えざるを得ない。この正体不明のエネルギーは「ダークエネルギー」と呼ばれ、現在、世界中の科学者たちがその正体を解明すべく探索を続けている。
また、巨大な渦巻きである銀河が、今の形を保って渦のように回転するためには、観測可能な星や星間物質以外に、未知の物質(質量)がないと釣り合いが取れないことが分かった。その量は、観測できる通常の物質の 5~ 6倍に相当する。この未知の物質が「ダークマター」であり、これもまた、世界中の科学者がその正体を負っている。
現時点で私たちが理解している宇宙像はあらかたこのようなものである。分かっていることより、分からないことの方が多い。というのが正確な表現かもしれない。なにしろ、「宇宙が何からできているか」ということについてさえ、その大半が未知の物質なのである。このシリーズで触れた物理法則や物理定数では、ダークエネルギーやダークマターを扱うことはできない。宇宙の進化を物理定数が律するなら、これら未知のエネルギーや物質に関係する物理定数が潜んでいるはずである。
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