« デジタル人民元その狙いとは? ① | トップページ | デジタル人民元その狙いとは? ③ »

2023年3月18日 (土)

デジタル人民元その狙いとは? ②

続き:

🔲デジタル人民元とはなにか?

 CDBCは目的に応じてホールセールとリテールという異なる取引タイプに分類することができる。ホールセールとは中央銀行と金融機関との取引を指す。日本では「日本銀行金融ネットワークシステム」がホールセール取引システムとして稼働し、資金や国債の決済が行なわれている。

 国の金融の根幹を担うだけに、体愛信頼性と安全性が要求される高度なシステムだ。このホールセール取引をデジタル通貨という新たな技術を使うことで、より低コストでより安全に実現できる可能性が期待されている。

 多くの国で実験が行なわれているが、すでに高水準のシステムを保有している先進国よりも、途上国の方が導入の意義が大きい。中国はすでにシステム整備が進んでいることもあってか、ホールセール型のCBDC の研究開発にについては積極的な動きは示していない。力を入れているのは一般市民や企業が日常的に使うリテール型だ。すでに普及しているモバイル決済のようにスマートフォンを使ってお店での代金を支払う、ネットショッピングの決済を行うといった使い方が想定されている。

 では、既存のモバイル決済とは何が違うのか?中国の中央銀行にあたる中国人民銀はデジタル人民元を現金の同等物と規定している。そのため、現金同様の特徴を持つように設計している。通貨の規定要素として重要なのが兌換性と匿名性だ。兌換性とは発行国においてその通貨はどこでもどこでも取引に使えることを指す。

 この店ではモバイル決済を受け付けるが、隣りの店では受け付けていない。あるいはアリペイには対応しているが、ウィーチャットペイには対応しないこうしたことは珍しくないが、現金での買い物を拒否する店はない。もし拒否したとすれば、それは違法行為となる。実際、中国では「キャッシュレス・オンリー」をうたった店舗が登場しては行政指導の対象っている。

 どこでも使えるという兌換性が担保されていること。デジタル人民元の正式サービスが始まれば、紙幣や硬貨での支払いを拒めないのと同様に、レジタル人民元への対応も義務化されるようになるはずだ。

 この兌換性を高めるための技術がハードウェア・ウォレットとオフライン対応だ。一般的には、デジタル人民元はスマートフォンの

アプリから利用する。モバイル決済と同様にQRコードを読み込んで支払う形式もあれば、アップルペイのようなNFC(近距離無線通信)規格を使ったタッチ決済の方式もある。それに加えて、スマートフォンを使わなくても決済ができるハードウェア・ウォレットにも対応しているのが大きな特徴だ。北京冬季五輪ではカード型のウォレットが、2022年11月の上海輸入博覧会ではウォレットが配布されているが、小さなチップを埋め込めれば形状は自由だ。日本の Suica と同様に、タッチするだけで支払いができる。

 キャッシュレス大国・中国であっても、誰もがモバイル決済を使いこなしているわけではない。中国ITネットワーク情報センター(CNNIC)によると、2022年6月末時点でモバイル決済利用者数は 9 444 万人。まだ。5 億人が使っていない計算だが、利用者数の伸びは鈍化している。携帯電話を持っていない子どもや貧困層、金融サービスやネット環境が整っていない辺境地域に加え、スマートフォンを使えない高齢者もいる。中国でもモバイル決済の先進地としての広東省深圳市の生鮮食品市場を取材して、山のように積まれた肉や野菜の上に QR コ―ドが貼りだされ、モバイル決済に対応していた……のだが、見たところ高齢者はほとんど現金支払だった。モバイル決済の使い方がわからない人もいれば、使えても現金のほうがいくら使ったかわかるし安全だと考える人もいる。こうしたデジタル・デバイドを解消するために、簡単に支払いができるハードウェア・・ウォレットが必要だというわけだ。

« デジタル人民元その狙いとは? ① | トップページ | デジタル人民元その狙いとは? ③ »

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事