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2023年4月24日 (月)

Clinical 手際の良い残根歯の抜歯法 ③

続き: 

2. 術前診査

 術前の口腔内診査、エックス線学的診査を行い、安全に手際よく抜歯するために具体的な抜歯方法についてあらかじめ検討し、必要な器材を準備する。

1) 口腔内診査

 口腔内診査により、①開口量、②抜歯する歯の直視と器具の直達が可能か、③器具操作のための十分なスペースの有無、④歯の位置(叢生、転位)、⑤残存歯質の量や形態、硬さ、う蝕の進行程度、⑥歯肉の状態(根面が歯肉縁上か縁下か)、⑦隣在歯との位置関係(両隣在歯が傾斜し鉗子やヘーベルが使いにくくないか)、等を確認する。

2) エックス線学的診査

 通常はデンタルX線写真、パノラマエックス線写真で十分であるが、容易に抜歯できない場合にはCT撮影が有用となることがある。

(1) 歯根の状態

 歯根の数と形態(太さ、長さ、湾曲の有無とその方向、根離開、根肥大、骨性癒着の有無等)、歯根膜腔の状態(狭小化や消失の有無)、根尖病巣の有無等を確認する。エックス線写真で反対側の同歯種の歯よりも歯根が短めであったり、根尖がやや丸い形態では、頬舌的に湾曲している場合があるので注意する。抜歯が予想していたよりも難渋する場合には、CT があれば撮影して歯根の頬舌方向の複根の重なりや、彎曲がないかを確認する。また歯根と下顎管、オトガイ孔、上顎洞底との位置関係を確認する。

(2) 歯槽骨の状態

 抜歯する根の状態ばかりに目が行きがちであるが、歯根周囲の骨硬化が強いと抜歯が難しくなるので、歯槽硬線の肥厚や消失の有無、歯根周囲の骨硬化の有無を確認する。慢性根尖性歯周炎に対する反応性骨硬化や、骨吸収抑制薬剤による骨硬化があると、骨がたわまないために抜歯が難しいことがある。また抜歯後に痛みが長く続いたり、肉芽組織の形成が遅れたりして術後経過が良くないことがある。

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