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2023年5月26日 (金)

人間と科学 第346回 歴史散歩 医学の目 リーダーたちが病気になった時(1) ③

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夫人は止めたが、ワシントンはおぼつかない声で「怖れるな」と言って、腕の静脈を切開させ、約 400 ml の血液が抜かれた。が、何の効果もなかった。

 11時に医者が来て、喉の周囲に湿布し、組織を刺激する発泡剤を使ったりしたが、かえって喉が痛くなるだけで、効果がない。酢とサルビアの煎じ茶でうがいをさせ、少量の酢と湯で吸入させたが、むせて窒息しかけた。再び瀉血したが、今度もダメだ。水を飲み込むことさえもできなくなった。

 午後、呼吸困難は強くなり、ベットの上でしきりに体を動かしている。息を吸おうとすると腹が膨らんで胸が凹み、吐こうとすると腹が凹んで胸が膨らむ。腹と胸がシーソーのように動くだけで、肺には空気の出入りがない。軌道閉鎖時にみられる奇異呼吸だ。応援の若い医者 2 人が到着し、1人が気管切開を提案したが、危険だと見送られた。当時は手技も未確定の賭博的治療であった。そして、また瀉血が施された。今度は 947 ml .。もはや血管からの出血の勢いは弱くなり、ポトポトと滴り落ちるだけととなっていた。

 夕方、遺言書を整理し、医者に「もうあなた方を患わせたくない、早く逝かせてくれ」と告げ、午後 10 時過ぎに、67年の生涯を閉じた。

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