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2023年5月10日 (水)

Clinical 手際の良い残根歯の抜歯法 ⑦

続き:

 「侵襲が大きくなり、腫脹、疼痛が強くなるから」「出血が増えるから」などの理由で、粘膜骨膜弁の挙上や骨の削除を避けがちであるが、むしろ補助的処置を加えないことで抜歯が難しいままであり、時間も延長して侵襲がかえって大きくなる。必要であれば速やかに粘膜骨膜弁を挙上し、明視下、直視にヘーベル挿入のためのグループ形成、歯の分割、骨削除などを行い、安全に短時間で終了するほうが、鉗子とヘーベルのみで延々と抜歯を続けるよりもはるかに侵襲が小さい。

(1) 被覆歯肉の切除 (歯肉縁下残痕死)

 残根歯が歯肉で覆われていて根面や歯根膜腔が確認できない場合は、手間を惜しまずに被覆歯肉をメスや電気メス、レーザー等で切除して、歯根膜腔を明示してヘーベルを使用する。ヘーベルは先端部を歯根膜腔に挿入して力を歯に伝えて抜歯する器具などで、この歯根膜腔の明示が最も重要な処置である。

(2) 粘膜骨膜弁の剝離・翻転

  根面が歯槽骨頂よりも深い場合、歯肉切除だけでは根面や歯根膜腔の明示ができないことがある。このような場合は粘膜骨膜弁を剝離・翻転する。粘膜骨膜弁の設計、剝離・翻転法の詳細な説明は略。

(3) ヘーベル挿入のためのグループ形成

  歯根膜腔が狭小していたり、骨縁下の残根でそのままではヘーベル容易に歯根膜腔に入らない場合は、バーで歯根膜腔に相当する部分にグループ(溝)を形成する。このグループは、ヘーベルやルートチップピックを確実に挿入し作用させるために非常に有用である。

(4) 歯根周囲骨の削除

  (3)の歯根膜腔に相当する部分のグループ形成の延長として、必要に応じて歯頸部かr根尖付近までの歯根全周の骨を最小限の範囲で削除うる。歯根膜腔が狭小化してヘーベルが歯根膜腔に入らない場合や骨製癒着がある場合、タービンまたは5倍速コントラで歯根周囲骨を削除。この処置により、ヘーベルの挿入が容易にする、骨性癒着部分が削除されぐ、歯根が動揺するためのスペースが形成される等の効果がある。

(5) 歯根分割

①複根歯の場合

  複数根であっても、骨吸収が進行し動揺が強い場合は鉗子で抜歯することが可能だが、骨植の良い複根の残根歯は鉗子やヘーベルだけでの抜歯は困難。――多い。こんな場合は、バーでヘミセクション、トリセクションの要領で歯根を分割して単根化して抜歯。分割後、分割溝にヘーベルを挿入し回転させると、分割されたそれぞれの根片が容易に動くので、その後鉗子やヘーベルで抜去。バーによる分割は分岐部まででよく、下顎管や上顎洞定を損傷する危険はないので怖がらずに分割する。

 また、複根歯で、歯冠が十分残存していて歯冠長が長い場合は歯冠から分岐部までの距離が遠く、根分割が難しいことがある。そのような場合は、バーで歯頸部を横切りにして歯冠と歯根を分離し、意図的に残根状態にすると、根分岐部までが近くなり分割が容易になる。

   

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