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2023年5月22日 (月)

人間と科学 第346回 歴史散歩 医学の目 リーダーたちが病気になった時(1) ②

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 ワシントンは歯科医師への手紙で、「義歯は幅があり過ぎて、支持部分が出っ張っている。そのため、上唇も下唇も腫れたように飛び出している」と訴えており、作り直した別の義歯については、「唇を鼻の真下まで突き上げる作用がある」とも。逆に、歯科医師からは義歯を清潔にするようにいわれており、びらんや口内炎で、いつもアヘンチンキを服用していた。麻薬性の鎮痛薬だ。この義歯のトラブルが、政治的にも、おそらく肉体的にも、彼の生命に終止符を打つことになる。

 彼は、イギリスからの独立戦争の英雄で、カリスマ性があり、アメリカ国王即位の噂もあったくらいだ。しかし、嚙み合わせの悪い入れ歯のために口が回りにくい。雄弁どころか喋れない政治家はありえず、 3 期目の大統領職は推されても辞退し、1797年にポトマック河畔のマウント・バーノンに隠棲した。現在の首都ワシントン D.C .の南方 25km、にある。のどかな土地だ。

 2 年後の 1799 /12/14、の早朝、彼は寒気がするとマーサ夫人を起こした。しゃべれず、息がしにくい。前々日に馬で農場を回って氷雨ににうたれ、夕方からのどが痛み始めた。前日からは声が嗄れている。夜明けに秘書が顔を出すと、息が苦しそうで、ふりしぼるような声で叫んでいた。糖蜜と酢、バターの混ぜ物を飲もうとしていたが、窒息しそうになって痙攣し、飲み込めない。とりあえず、瀉血の心得のある農場の監督者が呼ばれた。

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